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2019年1月 4日 (金)

言葉の移りゆき(258)

「会社への取材でわかる」という表現の不思議

 

 お持ち帰り(テイクアウト)でなく、商品を手にするには宅配という方法もあるのですが、お正月早々に、注文していたお節料理を食べられなかった人がいます。元日の新聞記事が伝えています。(テレビは、31日に報道していました。)

 

 物流大手のヤマト運輸(東京)がおせち料理を運搬する際、本来冷凍だったのに冷蔵で運んだため、計1268個を北海道内の顧客に届けられなくなったことが31日、同社などへの取材で分かった。

 (神戸新聞、2019年1月1日・朝刊、15版、30ページ)

 

 ヤマト運輸(東京)がおせち料理を運搬する際、本来冷凍だったのに冷蔵で運んだため、計1268個を北海道内の顧客に届けられなくなったことが31日、同社などへの取材で分かった。

 (産経新聞・大阪本社発行、2019年1月1日・朝刊、14版、31ページ)

 

 宅配便大手「ヤマト運輸」(東京都)が要冷凍のおせち料理を誤って冷蔵設定のトラックで運んだため、計1268個が北海道内の顧客に届けられなくなったことが31日、同社などへの取材で分かった。

 (毎日新聞・大阪本社発行、2019年1月1日・朝刊、13版、31ページ、石井尚)

 

 ヤマト運輸が関東から北海道に冷凍おせち料理を運送する際、誤って「冷蔵」として運ぶミスで鮮度が落ち、1268個分の配達を中止していたことが31日、わかった。

 (読売新聞・大阪本社発行、2019年1月1日・朝刊、13S、38ページ)

 

 ニュースの書き方で不思議に思うことがあります。「計1268個を北海道内の顧客に届けられないという事態になった。」という書き方が、ニュースでよく見る書き方です。ところが、このニュースに関しては、4紙がすべて「31日、分かった。」と書いています。(朝日新聞・大阪本社発行、2019年1月1日・朝刊には、このニュースが載っていませんでした。)

 どうして「31日」という日付を明確に示して、「分かった。」と書くのでしょうか。「会社が発表した」と書いてあるわけでもないのに、どうして「分かる」のでしょうか。しかも各紙が同じ表現をとっています。ニュース記事の不思議です。

 さらに、読売新聞以外は、「同社などへの取材で」と書いています。毎日新聞には記者の名が書かれています。神戸新聞と産経新聞は、共同通信の配信記事であろうと推測するのですが、ある日、突然、新聞社や通信社が同時に「同社など」に対して取材するというのは、何となく不自然です。

 前年の大晦日のことを新年の記事にしたから「31日」と書いたわけではないと思います。新聞には「15日、分かった。」などという書き方を見かけることがあるからです。もしかしたら、テレビ(や一部の新聞など)に先を越されて、報道されてしまったから、やむを得ず、このような表現になったのかもしれません。

 それにしても、このような、口裏を合わせたような表現をするのは不思議です。報道各社が独自に取材したように装うのも不思議です。ニュースの書き方には、暗黙の了解に基づいた書き方が存在しているようです。

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