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2019年2月 5日 (火)

言葉の移りゆき(290)

「黒歴史」という言葉と、新聞の黒い歴史

 

 遅いのかもしれませんが、今年になって知った言葉に「黒歴史」というのがあります。

 

 日本人の母、ドイツ人の父の元に生まれ、ドイツのミュンヘンで育った。平日はドイツ人しかいない地元校、土曜には日本人の子どもが学ぶ日本語補習校に通ったが「どちらにも属しにくい」との思いがあった。 …(中略)

 思春期には疎外感から逃れたくてドイツ人に同化しようとし、日本への悪口に同調した「黒歴史」もある。

 (毎日新聞・大阪本社発行、2019年1月1日・朝刊、13版、2ページ、「平成という時代」、聞き手・鈴木美穂)

 

 いぬパパさんが描いたのは、実体験を元にした甘酸っぱい漫画。思い出すことで「あの頃のダメダメな自分を再認識しました」と話します。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年1月12日・夕刊、3版、2ページ、「ウニユ×BCOK BOOKS)

 

 「黒歴史」という言葉の守備範囲がわかりませんので、ホームページを検索してみました。なかったことにされている(あるいは、したい)過去の事柄とか、隠しておきたいこととかの意味のようです。

 前者は、あるコラムニストを紹介した記事です。よく考えたら、国と国との政治はすべて「黒歴史」かも知れません。日露にも日中にも日韓にも、そのような要素がいっぱいあるようです。

 けれども、この言葉は、個人の内面にあるものを指して使うようです。それならば、誰でも、大なり小なり、そのようなものを持っているのではないでしょうか。秘めたる過去や、心のわだかまりや、内緒にしておきたいことなどを、「黒歴史」などというのは、言葉として大袈裟すぎると思います。

 後者の本文には「黒歴史」という言葉は使われていません。見出しだけが突出して「成人式の黒歴史」と書いています。またまた、見出しの独断と横暴です。

 そもそもこの記事のタイトル名「ウニユ×BCOK BOOKS」が、私には意味不詳です。そして、添えられている漫画が始まりの始まりに過ぎません。意味のない漫画です。そして「漫画の続きはQRコードから」と書いてあります。新聞記事が、記事の役割を果たしていません。新聞は記事そのものが他メディアへの導入に堕していく傾向を見せています。この欄だけでなく、あちこちにその兆しは見えています。そのうちに、QRコードだけが印刷されている新聞が出現する時代が来るのでしょうか。新聞の黒い歴史が始まりつつあるのかもしれません。

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