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2019年2月15日 (金)

言葉の移りゆき(300)

「大阪・関西万博」は略称ではない

 

 経産省という言葉は、経済産業省の略称です。経済産業省自身が決めたわけではありませんが、みんなが使えば定着していきます。略称とは、名称を省略して呼ぶことであり、その省略した名称そのものも略称です。

 さて、おかしな略称が誕生しました。記事には次のように書かれています。

 

 2025年に大阪市で開かれる国際博覧会(万博)について、経済産業省は24日、正式名称を「2025年日本国際博覧会」、略称を「大阪・関西万博」とすることを決めた。広く使われる略称は誘致の段階から関西全体をアピールしてきたことや、1970年の「大阪万博」と区別できるようにすることを踏まえたという。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年1月25日・朝刊、13版、34ページ)

 

 「2025年日本国際博覧会」や「大阪・関西万博」という名称については何の異議もありません。

 ところで、略称というのは、元の名称の一部分を使って短く表現するもののことです。「2025年日本国際博覧会」を略しても、「大阪・関西万博」という言葉は生まれてきません。「大阪・関西万博」は略称ではありません。別称とでも言うべきものでしょう。

 経済産業省が別称を決めることは問題ないと思います。けれども、それを「略称」と称することは間違っています。国のお役所が、間違った日本語の使い方を率先して行ってはなりません。

 この発表に対して、報道機関が、言葉の使い方が間違っているという声を上げないのは、新聞や放送も、間違った使い方に気付いていない、あるいは、間違った使い方を容認しているということでしょう。報道機関が日本語に敏感でないということは、まったく悲しいことであると思います。

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