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2019年2月20日 (水)

言葉の移りゆき(305)

「犬猫の大量生産」って何だ

 

 小学生の頃、学校の活動の中に「栽培部」や「飼育部」がありました。植物の世話や動物の世話をしました。その結果、花や野菜が穫れましたし、小動物の数が増えたりしました。

 昔は植物を「生産する」とは言わなかったと思いますが、今では、米穀や野菜を「生産する」と言うことが普通になっています。けれども、牛馬や鳥などを「生産する」と言うことに抵抗を感じる人は、今でも多いと思います。

 新聞は、動物を「生産する」という言葉に何の抵抗も感じていないようです。率先して、日本語の優しさをぶち壊そうとしているように思います。

 こんな記事がありました。

 

 ペットショップなどで販売される犬や猫の数が2017年度、のべ85万匹を超えました。犬猫の大量生産、大量販売が続いていますが、一方で現行の繁殖・販売業者の登録制度は事実上、「誰でもできる」状況です。 …(中略)

 交配時期を調整しつつ、年間2030匹の子猫を出荷する。出荷価格は数年前の2、3倍になっていて、1匹あたり10万~15万円の値が付く。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年1月27日・朝刊、10版、17ページ、太田匡彦)

 

 動物を「出荷」「販売」するという言葉遣いに違和感を感じたら、こんな文章は書けません。「生産」という言葉には唖然とします。法律などにどのような言葉が使われているのかは知りませんが、日常の言葉として使うのが適切かどうか、ちょっと考えたらわかることでしょう。新聞が使う言葉が、社会の指針ではなくなってしまっているのです。

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