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2019年3月 9日 (土)

言葉の移りゆき(322)

国語辞典は進化していく

 

 私は何冊もの国語辞典を使っています。だから、すべての辞典を最新版に買い替えることはできません。

 使い続けてきた『三省堂国語辞典・第5版』は、いまだに箱のオビが付いたままです。なにげなくオビを眺めていると、こんな言葉が目に入りました。

 

 元読売新聞用語幹事・金武信弥氏による「国語辞典比較調査」で、使いやすい辞書の第1位!

 ◆中学生から社会人までの生涯学習に。

 ◆2色刷の見やすい紙面。

 ◆「表外漢字字体表」(国語審議会答申)に準拠。

 

 こんな比較調査があったことは知りませんでした。「用語幹事」というのはどういう役割の人なのか、よくわかりません。

 ところで、ここに使われている宣伝文句について、その辞典を引いてみると「生涯学習」の説明はありません。「生涯教育」には次のように説明されています。けれとも、「教育」を「学習」に置き換えてすむようには思えません。

 

 「生涯教育」……社会人がよりより生きるために、一生涯にわたって受けられる教育(を保障する考え方)

 

 「紙面」とは何なのでしょうか。次のように説明されています。

 

 「紙面」……①紙の表面。「- のよごれ」

       ②新聞の、記事をのせたページ。「- をにぎわす・- を割く」

 

 この辞典の紙面というのは、①②のどちらにも当てはまりません。「紙面」というのは、「紙の表面」でもなく、「記事をのせたページ」でもなく、〈印刷された文字〉そのものではないのでしょうか。

 また、この国語辞典の箱の裏側には、こんな言葉が書かれています。

 

 ●膨大な用例カードにもとづく手作りの国語辞典の全面改訂版。

 

 「手作り」とは何でしょうか。用例カードは言うまでもなく手作りです。けれども、国語辞典の一冊一冊が手作りであるはずがありません。食べ物が手作りであるというのとは、まったく違います。この国語辞典が「手作り」でないとは言いませんが、この辞典に載っている「手作り」の説明は、書き変えなければならないでしょう。次のように書かれています。

 

 「手作り」……手で作・ること(ったもの)。手製。

 

 国語辞典は改訂のたびに進化を遂げています。最新版は、このような疑問を乗り越えて、きちんとした説明がされていることだろうと思います。私はそろそろ新版に買い替えなければならない時期が来ているのかもしれません。

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