« 言葉の移りゆき(337) | トップページ | 言葉の移りゆき(339) »

2019年3月25日 (月)

言葉の移りゆき(338)

「こてこて」というオノマトペ②


 国語辞典で「こてこて」をどのように説明しているか、それを列挙してみます。

 『三省堂国語辞典・第5版』  (味や色などが)こい(くどい)ようす。「- (と)ぬる・- したスープ」
『新明解国語辞典・第4版』  〔口語〕必要以上にたくさん用意されていて、見る人を辟易させることを表す。「- と・飾りつける(塗りたくる)」
 『岩波国語辞典・第3版』  いやけがさすほど濃く(目に立つように)塗り立てるさま。「- と化粧する」
 『現代国語例解辞典・第2版』  多すぎてごたごたするさまや、濃厚なさま。「こてこてと厚化粧する」
 『明鏡国語辞典』  分量が多いさま。「白粉を- (と)塗る」 「こてこての」の形で、濃厚なさま、その性質が非常に強く感じられるさまを表す。「こてこてのとんこつラーメン[関西弁]」
 『広辞苑・第4版』  ①こまごまと数の多いさま。しこたま。②(嫌気がさすほど)濃厚なさま。こってり。「おしろいを- と塗る」

 簡単な言葉であるのに、このように説明の仕方が分かれる言葉も珍しく、辞典ごとの個性が表れているのが面白いと思います。
 言葉の意味の中心は、〈濃い、くどい〉ということと、〈数が多い、ごたごたする〉ということにあるようです。何についてかというと〈色、味〉になり、動作としては、〈塗る〉ことに集中しています。
 前回に書いたような、言葉(関西弁)や、人(大阪人)についての説明は皆無です。
 興味深いのは、『明鏡国語辞典』が、「こてこてのとんこつラーメン」という言い方を関西弁だと述べていることです。けれども「こてこての関西弁」や「こてこての大阪人」にまでは言及していません。
 すなわち、東京人が編集する国語辞典には、言葉や人(性格や行動など)が「こてこて」であるという使い方は認知されていないのです。前回引用した記事を書いた記者も関西人であるのでしょうか。
 さて、結論です。関西(大阪)の言葉や人を「こてこて」と表現することがあります。それは関西(大阪)の言葉や人の特徴を的確に表した言葉であるのですが、そのような言葉遣いをすること自体が関西(大阪)に限定されているのです。
 (東京人は、言葉や人のことを「こてこて」という言葉で表すことをしません。したがって、言葉や人が「こてこて」であると言っても、その正確な意味が東京人に伝わることはないのです。)

|

« 言葉の移りゆき(337) | トップページ | 言葉の移りゆき(339) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 言葉の移りゆき(337) | トップページ | 言葉の移りゆき(339) »