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2019年4月30日 (火)

言葉の移りゆき(374)

「口伝」と「口承」は同じではない

 「口伝」という言葉が冒頭に使われている文章を読んで、おやっ、と思いました。民話とは広く伝えられている話であって、一部の人の間だけに伝えられているものではないからです。
 次のような文章です。


 口伝の民話には、その国の文化や伝統が息づいている。「スリランカの民話」は同国有数の寺院の住職タランガッレー・ソーマシリさんが翻訳し16年前に出した。仏教説話など源流が同じためか、日本の昔話と類似が多く親しみがわく
 (信濃毎日新聞、2019年4月23日・朝刊、9版★、1ページ、「斜面」)

 1ページの下部に毎日、掲載されているコラムの文章ですが、冒頭の「口伝」という言葉が気になりました。
 たぶん、「口承」(口から口へと次々に語り伝えること)の意味で使われたのだろうと思います。
 「口伝」という言葉の意味は、学問や技芸などの奥義・秘伝などを、弟子に口伝えに伝授することです。その教えそのものも、それを書き記した書物も「口伝」と言います。けれども広く公開されたものではありません。
 「口承」と「口伝」は、口伝えという点では共通しています。けれども、「口承」と同じ意味で「口伝」を使っている文章には、まだ、目にかかったことがありません。国語辞典も、それを認めているものは無いように思います。
 いずれはこの2つの言葉が同じ意味で使われる時代が来ないとも限りませんが、しかし、新聞の文章がその先棒を担ぐようなことをするのは避けるべきであろうと思うのです。

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