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2019年4月21日 (日)

言葉の移りゆき(365)

「社食」オンパレードの記事

「社食」という言葉を載せている国語辞典がどれだけあるのか、調べてはおりませんが、載せている辞典が増えつつあるだろうと思います。
 ところで、「以前に比べて、社食が良くなってきた。」という表現を目にしたとき、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
 ひとつの記事を引用します。短い記事の中に「社食」という言葉が次々と出てきます。


 2003年だったと思うが、アップルの社食に驚いた。石窯のあるイタリアンから、職人が握るすしまで地域一の有名店がずらり。聞くと、一時は追放されていたスティーブ・ジョブス氏が戻った際、社食の低水準さに怒り、 …(中略)…
 先日、今は巨大になったグーグル本社を訪れると、社食は世界的企業らしくしゃれていたが、 …(中略)…
 社食に込められた経営者のメッセージは、その後のIT業界での両者のプレゼンスに具現化されていったように感じる。 …(中略)… 社食のアナログな改善は、やがて社の方向性の象徴となり、デジタル覇権を争う人材を育んだ。
日本でも、タニタなど社食で有名な企業はあるが、「食」で経営者が強いメッセージを発している企業はどれだけあるだろう。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年3月26日・朝刊、10版、15ページ、「ネット点描」、尾形聡彦)

 国語辞典が「社食」を載せたとき、どのような説明をするのか、興味があります。
 「社食」という言葉には少なくとも3つの意味があると、私は考えています。
  ①社員が利用するための食堂〔目的〕。
  ②社内に設けている食堂〔設置場所〕。
  ③その食堂で提供するメニュー〔食事内容〕。
この3つです。他にも考えられるかもしれません。
 引用した記事は、それぞれの箇所でどのような意味を込めているのか、曖昧なところがあります。「社食のアナログな改善」という言い回しは、何のことを言っているのか、よくわかりません。
 どんな食べ物を食べても「おいしい」と「うまい」しか言えない人(とりわけテレビ出演者)がいます。細かく表現し分ける語彙が乏しいからでしょう。上に引用した記事も、「社食」という言葉の概念が広すぎて、焦点が絞れていない言葉遣いであるように思います。
 このコラムも、この日を最後に終わるそうですが、言いたいことを読者に分かりやすく伝えようとする努力をしてほしいと願わざるを得ません。

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