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2019年4月 6日 (土)

言葉の移りゆき(350)

「0円」と「無料」は同じなのか、違うのか

 

 携帯電話などの広告で「0円」という文字を見かけました。それを買ったり借りたりする条件がいろいろあるのかもしれませんが、普通に考えれば、「0円」と「無料」は同じことだろうと思います。
 けれども「無料」と書かないで、「0円」と書くのには何らかの違い(あるいはカラクリ)が込められているのだろうと思います。
 「0円」というのは広告だけのことかと思っていたら、新聞記事にも現れました。〈「0円」でマイカー持てます〉という見出しの記事です。たぶん、業者が使っている言葉を新聞がそのまま使ったのだろうと思います。カーシェア事業に関する記事です。

 

 

 この夏からは、車の登録台数と利用者を増やすため「0円マイカー」サービスを期間限定で実施する。具体的には、車を持っていない人には車を貸し出し、その人が車を使っていない時間にカーシェアとして他の人に提供すれば、通常は有料で使う車を一定回数、無料で利用できる。
 すでに車を持っている人がカーシェア用に提供すれば、車検費用、自動車税などは自己負担だが、同様の条件で毎月定額を受け取ることができる。それぞれ自己負担額が得られる対価を下回れば、「0円」に近い実質負担額でマイカーを持てるとのアイデアだ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年3月1日・朝刊、13版、11ページ、篠健一郎)

 

 この記事で見る限り、「0円に近い負担額」を「0円」と称しているようです。「必ず0円」になるとは限らないから、「無料」と言うことができないのでしょう。
 けれども、これは虚偽です。「0円に近い負担額」と言って宣伝するのは虚偽ではありませんが、「0円マイカー」という言葉には嘘が含まれています。
 「無料」でないものを「0円」と表記するのは、消費者を欺いていることになります。新聞がその片棒を担ぐような記事を書いてはいけません。

 

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