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2019年5月17日 (金)

言葉の移りゆき(391)

「綿菓子」と「綿飴」


 綿菓子または綿飴と呼ばれている食べ物があります。駄菓子屋さんで買うのではなく、お祭りなどの屋台で売られているのが主流だと思います。
 この食べ物について、「東西で違う証拠を撮った」という見出しの記事がありました。


 郷里の香川県に帰った時、こんぴらさんの参道で〈わたがし〉とあるのを見つけました。そうそう、小さい頃、私はこれを「わたがし」と呼んでいました。
 現在住んでいる東京で、屋台の文字に注意してみると、多くは「わたあめ」と書いてあります。経験的に、東では「わたあめ」、西では「わたがし」という感じがします。 …(中略)…
 こうした調査結果を、知識として知っておくことも大事ですが、実例に出合った時の楽しさは格別です。私はまだ何枚かの「証拠写真」を撮っただけですが、今後も、旅行先で屋台を見かけたら、このお菓子の表記に注意してみるつもりです。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年4月20日・朝刊、be3ページ、「B級言葉図鑑」、飯間浩明)

 東西で「わたあめ」「わたがし」という分布を示すということについては異論はありません。けれども、「わたあめ」と「わたがし」が、東西のどの辺りで分布が区切られるのかということは、現在ではあまり意味のないことであるのかもしれません。「証拠写真」の価値も乏しいと思います。
 ホームページを見ると、「わたあめ」「わたがし」の幟旗が売られています。幾つものホームページがありますが、たいていのところでは「わたあめ」「わたがし」の両方が売られています。これからは、東西の分布というようなことではなく、幟旗を買う人の好みによって選ばれるかもしれません。東京に「わたがし」があっても、関西に「わたあめ」があっても、何の不思議でもないことになるでしょう。
 なお、国語辞典では、『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典・第5版』では、「わたがし」が載せられて、「わたあめ」は「わたがし」を見るようにと誘導されています。一方、『現代国語例解辞典・第2版』では、「わたあめ」が載せられて、「わたがし」は「わたあめ」を見るようにと誘導されています。『岩波国語辞典・第3版』『新明解国語辞典・第4版』には「わたあめ」「わたがし」ともに載せられていません。

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