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2019年5月16日 (木)

言葉の移りゆき(390)

「選書」の新しい意味


 「選書」という言葉は、書物の中から選ぶ、という意味です。けれども、その言葉は、叢書・双書の名前として使われるというのが、従来の用例でした。
 そこに新しい意味づけがなされるようになりました。次のような記事があります。


 小さな書店の店主らが、お客さんのために本を選んで送る「選書サービス」が静かな人気だ。本が売れず、書店の数が減り続けている時代だが、利用者は何を求めているのか。
 北海道砂川市の「いわた書店」は全国から選書の依頼が殺到する、この世界では有名なお店。2006年に始めた「1万円選書」がテレビやSNSで取り上げられ、今では毎月150人限定のサービスに年7千人以上が申し込み、抽選待ちしているほどだ。
 年齢や家族構成、過去の読書歴や今、一番したいことなどを記した「カルテ」を顧客に送ってもらうのが最初のステップ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年4月8日・夕刊、3版、3ページ、「知っとこ!DATA」、金本有加)

 全国チェーンの書店が幅を利かせる中で、小さな書店の営みとして興味深く感じます。文庫、新書、選書、双書…などというシリーズ名として「選書」という言葉が使われてきましたが、「選書」の本来の意味は、書物を選ぶということです。読者一人一人に合った本を選ぶというのはたいへんな作業だと思いますから、よほどの書店主でないとできないことかもしれません。
 他人に本を選んでもらうのは、読書人の営みとして望ましいかどうかわかりませんが、読書生活の契機となるのなら、一度ぐらいは利用してもかまわないのかもしれないと思います。その後は自分で「選書」をしていけば良いのですから。

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