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2019年6月 6日 (木)

言葉の移りゆき(411)

お父さんを「預かる」こと


 昔は、たいていの駅前に「自転車預かり所」がありました。クルマの時代になった今でも、通学生のために有料・無料の駐輪所が設けられているところがあります。
 自転車を「預かる」という表現には違和感はありません。幼児を「預かる」ということになると多少の違和感を持ちます。「預かる」という言葉が、他人の所有物を保管したり面倒を見たりして、責任を持って守るという意味であるからです。
 犬を預かると言っても抵抗感はありませんが、子どもは「預かる」と言ってよいのでしょうか。
 格段に飛躍した言葉遣いがありました。次のような記事です。


 連休の人混みでゆっくり休める場所がない中、荷物の預かりならぬ「お父さん預かりサービス」が大阪・難波で始まった。大人1人1時間500円で5月6日まで。
 オフィスビル内の貸会議室「難波御堂筋ホール」が閑散時のスペースを活用。寝転べるマットやマッサージ器の他、子どもが見られるDVDも用意した。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年4月29日・朝刊、14版、22ページ、「青鉛筆」)

 記事で見る限りは、「預かる」という行為であるようには思えません。場所を提供して、自由に使っていただくということのようです。
 臨時的なものであり、遊びのような言葉遣いであることは認めます。目くじらを立てなくてもよいのかもしれません。
 けれども、「お父さん預かり」という言葉遣いが、どこまで広がっていくのかはわかりません。そのうち、「社長さん預かり」や「大臣さん預かり」にまで発展していくかもしれません。
 前回の「平成最後の」「令和最初の」と同様に、こういう言葉は、新聞・放送用語であり、商売のための言葉であるのでしょう。一般の人がこんな言葉遣いをするとは思えません。

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