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2019年6月16日 (日)

言葉の移りゆき(421)

「そうだ」という助動詞の上接語

 作家の町屋良平さんを紹介する記事を読んでいて、おやっと思う表現に出くわしました。ちょっと違和感がありましたが、若い人たちの間では、こんな言い方も広がっているのでしょうか。
 様態を表す「そうだ」という助動詞への繋げ方のことです。


 昨夏の芥川賞の選考会で次点だった「しき」は、高校2年の男子が、曲に合わせてダンスする「踊ってみた」動画を投稿するまでの春夏秋冬を活写する青春小説。登場人物は、誰の目にも留まらなそうな高校生だ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年1月4日・朝刊、13版、24ページ、「亥のいちばん年男」、宮田裕介)

 この部分は町屋さんの発言ではなく、記者の書いている文章です。気になったのは、「留まらなそうな」という表現です。
 「そうな」(終止形は「そうだ」)という言葉は、動詞の連用形、形容詞の語幹、形容動詞の語幹に接続します。動詞に続く場合は「起こり・そうな・事件」、形容詞に続く場合は「面白・そうな・本」、形容動詞に続く場合は「元気・そうな・様子」というようになります。
 「留まら・な・そうな」という使い方はちょっと特殊です。打ち消しを表す助動詞「ない」を挟むからです。
 その場合の使い方は、例えば、「頼りなさそうな答弁」などの例からわかるように、「留まら・なさ・そうな」とするのが、これまでの表現だと思います。
 言葉の変化で最も速いのは語彙(単語)ですが、文法もゆっくりと変化をしています。新聞などで「留まらなそうな」という表現が多く見られるようになったら、人々の使い方も変わっていくことになるかもしれません。

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