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2019年6月19日 (水)

言葉の移りゆき(424)

小学生に新聞が読み比べられるか


 2020年度からの使用に向けた小学校の新しい教科書には、新聞を使ったいろいろな活動が取り上げられているそうです。
 新聞を購読しない家庭が増えている現状のもとで、小学生が新聞記事をもとに学習することはどんな意味を持つのでしょうか。教室の内だけで完結してしまって、日常生活に波及していかないような学習指導にはもの足りなさを感じます。
 こんな記事を読みました。新聞の宣伝材料にはなりますが、きれい事に終始しているような印象はぬぐい去れません。


 光村図書は、5年の国語で、陸上の桐生祥秀選手が百メートルを9秒台で走ったことを伝える二つの記事を並べた。
 一つは全国紙で、「世界のスタートライン」と題した記事。もう一つは桐生選手とゆかりのある地方紙で、「ジェット桐生 京滋が原点」の見出しがつく。「二つの記事を比べて読み、どんなちがいがあるか、また、どうしてちがうのかを考えましょう」と子どもたちに促した。
 同社の担当者は「まずは新聞を知ってほしい。説明的文章などの『連続型テキスト』と図や表などの『非連続型テキスト』を組み合わせて必要な情報を読み取る力、着眼点が違うことに気付く力を育てたい」と話す。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年5月20日・朝刊、13版、21ページ、山下知子)

 一つの問題点は、読み比べるのにふさわしい記事が教科書に取り上げられているにしても、同じ話題について、2つの新聞が取り上げている記事に接することは、小学生にとっては容易なことではないということです。
 もう一つの問題点は、新聞の記事が外来語や略語、流行語を多く用いて書かれている現状を見ると、現状の新聞がNIEにふさわしい教材を提供しているかいうことに疑問を持たざるを得ません。(このことは、この連載で何度も指摘してきました。)
 新しい学習指導要領の考え方は間違っていないと思いますが、教材にできるような記事を掲載するような新聞作りを望みたいと思います。

 引用した記事で気になったことを述べます。光村図書の担当者の言葉です。「まずは新聞を知ってほしい。」とはどういう意味でしょうか。小学校5年生は、一般の新聞を読んでいないから、まずは新聞を読むことから始めてほしい、と言っているように聞こえます。それが現実の姿でしょう。そんな状況にありながら、2つの記事を読み比べるというのは唐突過ぎます。
 もう一つ気になったのは「連続型テキスト」と「非連続型テキスト」という用語です。小学生に向かってこんな言葉を使うことはないはずですが、この言葉は小学校の教員が使う用語なのでしょうか。一般用語としても定着していない言葉だろうと思います。「まずは新聞を知ってほしい。」という言葉と、専門用語の間に大きな格差がありますが、小学校の教育指導の現場は、現実離れをした、高度な指導を期待されている(求められている)ような気がしないでもありません。

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