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2019年8月 7日 (水)

言葉の移りゆき(444)

「世相が軽くなる」とは?


 「重い」の反対語は「軽い」です。けれども、「世相」が重いとか、軽いとか言うのは、どういう意味なのでしょうか。理解ができません。こんな文章に書かれていました。


 きょうは戦後歌謡界の巨星、美空ひばりの命日である--と書いても、若者のなかには曲を知らない人が少なくないだろう。亡くなったのは平成が始まった年だった。30年のうちに、この歌姫が体現した昭和の哀歓は少しずつ記憶から遠のき、世相は軽くなったのだ。
 (日本経済新聞・東京本社発行、2019年6月24日・朝刊、13版、1ページ、「春秋」)

 「この歌姫が体現した昭和の哀歓は少しずつ記憶から遠のき」という表現は理解できます。ところが「世相は軽くなったのだ」という表現は、どういうことを述べようとしているのか、私には理解不能です。
 「世相」とは、世の中の有様とか、社会の風潮とかいう意味です。「現代の世相を反映している」というような言い方をしますが、世相が軽くなる、または重くなる、という表現となると、わけがわからないのです。
 「記憶から遠のいた」ということを、「世相が軽くなった」と言っているようには思えませんから、いろいろ考えてみましたが、結局、わけがわかりません。
 せいぜい考えられることは、そのような世の中でなくなったとか、社会の風潮が変化したとかいう意味ぐらいですが、それならば「世相が軽くなる」という言い方では表現できないだろうと思います。
 新聞人特有の言い方なのか、経済人特有の言い方なのかしりませんが、少なくとも、日本語の自然な表現ではないということだけは言えると思います。

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