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2019年8月 4日 (日)

言葉の移りゆき(441)

「令和」の「令」の文字


 「平成」の伸びやかさに比べて、「令和」の堅い印象について、いろいろな意見が述べられていますが、一つの時代を表す言葉として使われ続けることになるのでしょう。
 こんな文章がありました。


 「令」は、明朝体などの活字では最後が縦棒になりますが、手書きでは「マ」のように点を打つ形が一般的です。小学校の教科書でも「令」の下側は「マ」の形です。
 一方、官房長官が公式発表した楷書の「令」は、活字と同じく最後が縦棒になっていました。もちろん、こう書いてもよく、書き取りのテストでもマルになりますが、普通は「マ」のように書きます。
 ところが、今では、街で見かける手書きの「令和」の「令」のほとんどが、最後を縦棒にしています。公式発表の文字が美しかったため、誰もがそれを手本にしているのでしょう。下側を「マ」にしている手書きの実例はきわめて少数です。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年6月15日・朝刊、be3ページ、「街のB級言葉図鑑」、飯間浩明)

 私は、新元号発表のとき、まず「レイワ」という発音を聞き違和感を抱き、次に官房長官が掲げる文字を見ても、それは消えませんでした。「令」に美しいという意味があることはわかっていますが、そんな使い方よりも、命令、律令、法令など、熟語の後半の文字として使われることが大半であるからです。「令」の文字の最後が「マ」であれば、文字としても不安定な形に見えます。縦棒にして、やっと落ち着いた形になります。縦棒は苦肉の策と思われます。
 けれども、手書きは「マ」です。縦棒を間違いとは言いませんが、縦棒で書くのは「令和」だけではないでしょうか。命令の「令」を縦棒で書くことなどは、現在のところ、皆無(もしくは、稀)ではないでしょうか。
 明朝体は活字に過ぎません。手書きとは別ものです。財前謙さん編著の『手書きのための漢字字典』(明治書院)では、「令」の文字の縦棒に×印を入れています。当然でしょう。
 「令」の文字の縦棒を認めるならば、「冷」「零」「齢」「玲」「鈴」などの文字も同じようになります。そのような文字まで、縦棒で書く人は増えていくでしょうか。そうは思えません。
 活字と手書きは別物です。例えば「衣」という文字は6画です。活字通りに書いて7画とするのは間違いです。私は、教科書体の活字が広がってほしいと思いますが、急には無理でしょう。それなら、手書きと活字は別物だという考え方が浸透していくことを期待するしかありません。

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