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2019年8月19日 (月)

言葉の移りゆき(456)

「目が離せない」という言葉


 「目が離せない」という言葉は、「幼い子どもからは、始終、目が離せないからたいへんだ」というような使い方をして、いつも注意や監督をして、見守っていかなければならないという意味です。
 この言葉は、近頃は、宣伝用語として使われることが多くなったように思います。「この商品からは目が離せない」という言葉は、注目させて、購入させようという意図が強い言葉だと思います。
 「目が離せない」は、それを表現している人の思いを述べる言葉だと思いますが、他の人の行動を促す言葉に変化しようとしているのです。
 こんな記事がありました。


 お金は誰のものになるのか。そもそも夫はどうして殺されたのか-。行く末が気になる一方、「あなたたちは闘うの」と3人をあおるハウスの管理人役、夏木マリの快演からも目が離せない。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年7月4日・朝刊、14版、28ページ、「試写室」、黒田健朗)

 あるテレビドラマを紹介する記事の結末の部分です。「目が離せない」は、筆者の思いを述べているだけでなく、ドラマのPRの言葉になっています。商品のPRと同じ働きをしています。しかも、自分の作った商品でないものをPRしようとしています。
 「目が離せない」は、対象物に注意したり監督したりする意味を離れて、対象物を売り込む意味に変化しているのです。

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