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2019年9月11日 (水)

明石日常生活語辞典・追記(3)

立ちしな・立ちし


 座っている状態から、立とうとする動作に移ろうとするときのことを、関西の言葉では「立ちしな」「立ちし」「立ちかけ」「立ちがけ」「立ちやけ」などと言います。「立ちしな」は関西の風情がよく出ていると思います。「立ちしな」を短く言うと「立ちし」になります。
 こんな文章を読みました。


 芥川賞作家で文化勲章を受章した田辺聖子さんが、6月に91歳で亡くなりました。田辺さんの手紙と音源が米朝家にあります。手紙は2002年6月13日の消印。和紙の便せんに柔らかな筆文字が綴られています。
 「老母は九十七才ですが、ゆうべのてんぷらも私よりたくさん頂き『ハイ、ごちそうさん』と立ちしなに私をじろりと見て、『あんまり飲みなさんなよ。あたま悪うなりまっせ。もう手おくれやろけど』……子を見ること、親に如かず、です」
 (朝日新聞・大阪本社発行、2019年8月15日・夕刊、3版、3ページ、「米朝物がたり」、小澤紘司)

 「明石日常生活語辞典」では、「しな」という、動詞の連用形に付く接尾語を、「①その動作などをする、ちょうどその時。②その動作をしている途中」と説明しました。
 新聞からの引用文は①の意味ですが、②の意味では「行きしな・に・ 土産・を・ こ(買)ー・ていく。」というような使い方をします。「行きしな」とも言いますし、「行きし」とも言います。ただし、前の動詞が1音節のときは、「寝しな」と言って、「寝し」とは言いません。

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