« 明石日常生活語辞典の刊行について(3) | トップページ | 明石日常生活語辞典の刊行について(5) »

2019年9月 4日 (水)

明石日常生活語辞典の刊行について(4)

すべての言葉に用例を記しています


 「明石日常生活語辞典」は、明石の俚言、関西共通語、全国共通語を収めた辞典です。そうすると、国語辞典と同じような内容が多いのではないかという推測をされるかもしれませんが、そうではありません。
 形の上で共通語と同じような言葉もたくさん収めておりますが、それぞれの言葉の意味・用法が共通語とまったく重なっているわけではありません。共通語の持つ意味のうち、明石方言では使わない意味・用法もありますし、共通語の持っている意味・用法以外の使い方をする言葉もあります。言葉としては共通語と同じ形であっても、明石方言に立脚した説明をしているのです。
 言葉は意味を知っただけでは、使いこなすことはできません。その言葉の用法(使い方)に沿って使わなければなりません。この辞典では、言葉のすべての意味に沿って、用例を示しています。国語辞典ではスペースの都合から、「悪い天気」とか、「天気が続く」のように、短い用例を示している場合がありますが、この辞典では、ひとまとまりの文の形で提示しています。「この・ いっしゅーかん(一週間)・ てんき・が・ つづ(続)い・とる。」「あいつ(彼奴)・の・ てんき・は・ きゅー(急)に・ か(変)わる。」のような用例です。
 文の形で用例を示し、それを文節ごとに分かち書きをしています。その文節が幾つかの単語から成り立っている場合は、「・」の符号で単語に分けています。用例文の分かち書きと、単語の分割が、この辞典の最大の特徴です。
 文の形で示すことによって、助詞や助動詞がたくさん出てきます。助詞や助動詞は見出し語としても扱っていますが、その用例は辞典の随所に現れているのです。関西共通語や全国共通語も織り交ぜて使いながら、実際の発話はこのような言葉遣いになっているということを示しているのです。
 用例は、実際の言語生活から拾い上げるとともに、筆者の内省によって作っているものもあります。それは、筆者が方言研究者(調査者)であるとともに、生まれてから現在まで、ずっと同じところに住み続けていることによって「方言の話し手」(被調査者)の資格も備えていることによって可能なのです。

|

« 明石日常生活語辞典の刊行について(3) | トップページ | 明石日常生活語辞典の刊行について(5) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 明石日常生活語辞典の刊行について(3) | トップページ | 明石日常生活語辞典の刊行について(5) »