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2019年10月13日 (日)

明石日常生活語辞典・追記(35)

すいな


 川崎洋さんの著書に紹介していただいている明石の言葉として、最後に「すいな」について書きます。漢字で書けば「粋な」ということになるでしょうが、選りすぐったものというような意味では使いません。貶し言葉ではありませんが、褒め言葉に徹しているわけでもありません。川崎洋さんの文章を引用します。


 私が生まれてはじめてコカ・コーラを飲んだのは、今からもう二五年ほど前のことになります。
 それまで、日本には、ラムネ、サイダー、それにカルピスというような飲みものがありましたが、コカ・コーラはありませんでした。コカコロニゼーションという新語があります。コカ・コーラと、「植民地化」を表わすコロニゼーションとの合成語で、コーラの進出ぶりをアメリカの経済進出とあわせて諷刺した国際語ですが、日本にも、駐留軍と共にコカ・コーラがどっとやってきました。生まれてはじめて飲んで、いっぷう変った、薬くさい味だな--と思いました。
 このように、ちょっとふつうとちがった、いっぷう変った、という意味で、「すいな」ということばが兵庫のほうで使われています。
 つまり、私にとって、コカ・コーラは「すいな味」だったわけです。
 味ばかりではありません。「すいなやり方をする」というふうにも使います。
 (川崎洋、「母の国・父の国のことば わたしの方言ノート」、日本放送出版協会、1976年10月20日発行、128ページ)

 「すいな」は、「すいやっ・た」というような使い方もしないわけでもありませんが、活用のない言葉(連体詞)として扱いました。「すいやっ・た」は形容動詞連用形+助動詞という扱いになりますが、そのような使い方は極端に少ないと思います。
 「明石日常生活語辞典」では、「すいな」を次のように説明しています。

 《連体詞》 ①一風、変わった。「こーら(コーラ)・と・ ゆー・の・は・ すいな・ あじ(味)・が・ する・ のみもん(飲物)・や・なー。」②地味で渋い感じがする。「あんた・ きょー(今日)・は・ すいな・ きもの(着物)・を・ き(着)・とる・なー。」

 ①の場合は褒め言葉の要素は弱いのですが、②の場合は褒め言葉の度合いが大きいように思います。

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