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2019年10月 6日 (日)

明石日常生活語辞典・追記(28)

ここっちょい

 「ここっちょい」は「心地良い」の発音が変化した言葉です。川崎洋さんは、私が話したことをもとに、文章を綴っておられます。

 私は魚釣りをはじめて一五年になりますが、ひと頃に比べて、めっきり魚がいなくなりました。  だいぶ前に、夜のボート釣りで、あっというような大きなメバルをあげたことがあって、それは今魚拓にしてとってありますが、あのときの、身体中の臓物が踊り出すような悦びを今でも忘れることができません。  そんなとき、兵庫県の明石で、 「ここっちょいほどおおけなメバルが釣れた」  といいます。  明石ですから鯛を例に引きたいところですが、まだそんなここっちょいほど大きな鯛を釣ったことがないので残念です。  それから小さな魚でもたくさん釣れる、いわゆる入れ食いのときも、「よお釣れて釣れて、ここっちょおて、やめられへん」というふうにいいます。  「ここっちょい」は、「心地良い」ではありますが、「涼しい風が頬に心地良い」などと使う場合の「心地良い」とは、感覚的にまるで違います。豊漁などで快哉を叫ばずにはいられない気持を表すことばなのです。  (川崎洋、「母の国・父の国のことば わたしの方言ノート」、日本放送出版協会、1976年10月20日発行、98ページ~99ページ)

 実際には、豊漁の場合だけに使う言葉ではありません。農作物の収穫にも使いますし、例えば「たからくじ(宝籤)・の・ いっとー(一等)・に・ あ(当)たっ・て・ ここっちょかっ・てん。」と言っても、おかしくはないのです。  「明石日常生活語辞典」では、「ここっちょい」を次のように説明しています。

 《形容詞・特殊型》 自分の得たものの量や質などに手応えに感じて、痛快に感じる。「さかな(魚)・が・ ぎょーさん・ つ(釣)れ・て・ ここっちょい。」「こないに・ おー(大)きな・ だいこん(大根)・は・ ここっちょい・なー。」「ここっちょい・ほど・ よー・ もー(儲)かっ・た。」

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