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2019年10月 3日 (木)

明石日常生活語辞典・追記(25)

どんま


 「どんま」という遊びがありました。今の子どもたちがその遊びをしている姿を見たことはありません。画面を見ながらゲームに夢中になっても、子どもたちが道端や広場に集まって遊ぶことはしなくなりました。大人がその状況を見て嘆くことをしますが、自分たちに原因があることには無頓着です。
 道端や広場を使いにくくしているのはクルマです。けれども、クルマは増えるばかりで、子どもたちを道端や広場から追いやっています。ゲームを作る会社は銭儲けに一生懸命で、そんな生産をやめなさいと声高に言うのは聞いたことがありません。大人の身勝手が子どもたちの生活を変えているのです。
 さて、「どんま」という遊びの経験者も減ってしまっていることでしょう。「明石日常生活語辞典」では「どんま」のことを、このように説明しています。


 《名詞》 馬乗り遊び。◆電柱・壁・塀などを背にして一人が立ち、その股の間に次の者が首を入れて腰を低くする。その後ろに次々と同じ姿勢の者が続いて、「馬」を作る。別のチームの者がその馬に次々と飛び乗って、馬が崩れたら何度でも繰り返す。馬が崩れなかった場合は、立っている一人と、先頭で飛び乗った一人とがじゃんけんをして、飛び乗った者が負けると馬になる。

 この遊びを「どんま」と呼んだのは、どの地域の人たちでしょうか。明石市内ではすべての地域で「どんま」と言っていたのでしょうか。別の言い方をしていた地域もあるかもしれません。逆に、明石市内でなくても、隣接の地域で「どんま」と呼んでいた地域はあるのでしょうか。それは、あると思います。
 方言というと、ある一定の地域に広がって、離れるていくとその言葉は使われなくなる、と考えがちです。その考えは間違っていないでしょうが、すべてがそのようになっているわけではありません。
 「どんま」について書かれた、次のような文章を読みました。竜の子プロダクションの社長(出版当時)の久里一平さんの本の中にあります。


 放課後、みんなで「どんま」で遊ぶ。 / 馬乗りのことだ。 / 飛び乗ってくる相手を振り落とすように馬は暴れる。 / 頭がぶつかって、身体がふれあって / すぐに汗ばんでくる。 / 交代で、乗ったり、乗られたり。 / つぶしたり、つぶされたり。 / 時にはケンカが始まったり。 /そんなぶつかりあいのなかで / 友だちができる。 / 子どもたちは、おおぜいで育つのがいい。 / 人は、誰かとともに生きているのだ。
 (九里一平、「京の夢、明日の思い出」、講談社、2004年11月12日発行、ページ数表示なし)

 京都での子どもの頃のことを思い出して、躍動的な絵とともに、文章で表現されているのです。明石と京都にこの言葉があるから、その間のすべての地域にこの言葉が広がっていたとは言えなくても、同じ言葉で表現される同じ遊びをしていた人の表現に出会うと、嬉しい気持ちになります。

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