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2020年2月 2日 (日)

生きる折々(33)

金儲けのための終電延長


 世の中はすべて金儲けという目的のために動いているのでしょうか。オリンピックしかり、IRしかりです。オリンピックは金儲けの大きな流れの中で、かつての秋空のもとでの美しい祭典とは無縁の、酷暑の開催になりました。観光政策のためにIRがあると言っても、結局は金儲けのためです。儲けるために大義名分を作っているだけです。
 オリンピックの報道はとっくに、スポーツ精神とか、参加することに意味があるという言葉は消え失せています。IRについては、賭け事の是非などにはフタをして、金儲けに走ろうとしています。なさけない世の中になったものです。
 国土交通省が、大阪の中心を南北に結ぶ大阪メトロ御堂筋線で終電を約2時間遅くする実証実験を行ったそうです。そのことを報じる新聞記事の見出しが「終電延長 もうかる?」となっていました。金儲けに関わることを政府が行って、報道機関もその流れに乗ったことを書いているのです。記事の内容にも、いつもより遅くまで飲める、とか、この後もバーで飲みます、とかというコメントが紹介されています。飲み屋が儲かるとか、飲める時間が長くなるとかということが、観光政策という言葉を使うことによって正当化されているのです。
 こういう記事になると、貧困の問題や治安の問題などには目が向かず、夜の生活の魅力などということが強調されるのです。「住んでいる人が夜を楽しむことから、観光客が求めるコンテンツが生まれてくるはずだ」などという、大学教授のコメントなどが載せられているのです。
 経済という言葉が経国済民に由来するなどということは彼方に忘れられ、人間の生き方や心の問題などとは関係なく、金儲けの話に終始しているのが、政府の姿勢であって、報道機関はそれを無批判に報じているのです。
 教育の問題も、それとは無関係ではありません。心や倫理に関わる教育のことなどは忘れ去って、ランクを作ってその高い学校に入るのが価値あることのように言いふらしています。どんなランクの大学に入ったら収入はどれぐらいの会社に就職できるとか、そのためには塾に通わす費用はどれくらい必要だとか、大新聞がそんな記事を載せ続けています。
 考えてみれば、新聞は大きな広告を載せて稼ぎ、放送もコマーシャルで稼ぎます。広告主と同じような感覚で、金儲けの話を無批判に載せる習慣が身についているようです。スポーツや芸能の価値もすべて金に換算してしまっています。
 メトロの話に戻りますと、欧米では24時間営業の路線もあるそうです。欧米の真似をするのが良いことであるかどうか、深く考えることなく真似をしたがる人間が、日本にはいます。終電時間を早めることは話題にならないのです。人間の生き方・あり方を深く考えないような人間が、社会のリーダーになってはいけないと思うのです。

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