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2020年2月17日 (月)

兵庫県の方言(3)

音韻について

 

 

 はじめに音韻についてお話しします。音韻、すなわち発音のことです。
 掃除をするときに雑巾を使います。その雑巾を、例えば播磨地域に住む人が、「どうきん」と発音することがあります。サ行の「さしすせそ」を濁音にした「ざじずぜぞ」と、タ行の濁音「だぢづでど」と、ラ行の「らりるれろ」とが、時に混同する現象が起きているのです。もっとも、そのような発音の混同は関西に広がっていて、大阪では、淀川のことを「よろがわ」と言う人もいます。大阪には、「よろがわ(淀川)の水を飲んで、腹ららくらり(だだ下り)や」という言い方があると言います。
 もっとも、東京には、東京の発音の特徴的な傾向はあるわけで、東京駅の近くの日比谷(ひびや)という地名も、NHKのある渋谷(しぶや)という地名も、「しびや」のような発音になってしまって、2つの地名を発音し分けるのが難しい人がいるようです。落語などを聞いていると、炭火を挟む「ひばし(火箸)」のことを「しばし」と言ったりしています。
 さて、「えー えーを こーた。」という言葉を聞いて、どういうことかおわかりになりますか。関西では、一拍音、一音の言葉の発音が伸びて、長音(延ばす発音)になるという現象があります。
 「えー えーを こーた。」というのは、はじめの「えー」は(良い)、次の「えーを」は(絵画を)、それを「こーた」(買った)、ということですね。
 「かー(蚊)に 刺された。」とか、「は(歯)ーが 痛いさかい 歯医者さんへ 行く。」というように、一拍音が長くなるというのは関西方言の大きな特徴です。
 それから、兵庫県を含めて関西には、鼻濁音の現象が残っています。鼻にかかった「か゜・き゜・く゜・け゜・こ゜」のような発音です。鼻濁音は美しいと意識されていましたから、鼻濁音が関西に残っているのは嬉しいことです。
 「かか゜く(科学)か゜ 発達する。」とか「蝶や か゜ー(蛾)か゜ 飛んでくる。」というような発音です。
 次に、新幹線の駅がある西明石が「にっしゃかし」という発音になり、山陽線にある駅名の土山が「つっちゃま」になり、市の名前の芦屋が「あっしゃ」になるという発音変化があります。結論だけを申します。これは、二拍目より後ろにイ段かウ段の音があり、その次に母音「ア・イ・ウ・エ・オ」や、ヤ行の「ヤ・ユ・ヨ」や、ワ行の「ワ」が来る場合、二拍の発音が結びついて「キャ・キュ・キョ」などの拗音の一拍となって、減った一拍を「ン」という撥音(はねる音)、または「ッ」という促音(つまる音)で補うという現象です。西明石=(にっしゃかし)、福知山=(ふくっちゃま)、石山=(いっしゃま)などの発音です。
 固有名詞だけではありません。日曜日を「にっちょーび」と言ったり、「花火を打ち上げる」を「うっちゃげる(打ち上げる)」と言ったりします。このような発音の変化は意外に多いのです。

 

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