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2020年4月 1日 (水)

ことばと生活と新聞と(40)

汚らしいカタカナ語のぶった切り


 今回は新聞見出しの汚らしさの話題です。たった1日分の新聞見出し、仮に3月24日に限っても、次のような状態になっています。

①日本郵便の内部通報者捜し / 「コンプラ担当から電話で情報受けた」
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・朝刊、14版、6ページ、見出し)

 本文では、「この局長がコンプライアンス(法令や社会規範の順守)の担当役員から通報情報の一部を得ていたことがわかった。」と書かれています。日本語で表現できるものをカタカナ語で書き、さらにそのカタカナ語をぶった切るという荒々しさです。

②ドラレコ 自分の運転見直しも
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・朝刊、13版S、11ページ、「声」欄、見出し)

 投書者の本文は、「還暦を過ぎて少しずつ車の運転に自信を失いつつあり、以前からドライブレコーダー(ドラレコ)を取り付けたいと思っていた。」とあります。筆者はきちんとドライブレコーダーと書いているのを、わざわざ(ドラレコ)と短縮形にしたのは新聞社ではないのでしょうか。

③告知に「ステマ」
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・朝刊、14版、31ページ、見出し)

 インターネット上で話題になった4コマ漫画についての記事です。いくつかの見出しのうちの一つです。
 本文は、「『ワニはステマ(ステルスマーケティング)』『怒濤のメディア展開されると覚めた目で見てしまう』などと、一転して否定意見が相次いだ。」とありますが、理解できそうにない文章でした。

④大会ボラ「早く決めて」
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・朝刊、14版、33ページ、見出し)

 東京オリンピックの延期が取りざたされている最中の記事の見出しです。ボランティアのことを「ボラ」と表現したであろうことは推測できますが、どんな言葉でも短くしてやろうとする露骨な一例です。

⑤米オリパラ委が五輪延期を要請
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・夕刊、3版、1ページ、見出し)

 これも、オリンピックやパラリンピックが話題になっている時期ですから、意味はわかります。けれども、本文ではこんな言い方はできないのに、見出しは実に荒々しいと思います。

⑥オタ芸 極めれば アート
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・夕刊、3版、6ページ、見出し)

 記事にはわざわざ解説欄を設けて、「オタ芸」のことを「『アイドルオタクの芸』の略で、ヲタ芸とも書かれる。 …(以下略)…」という16行にわたる説明をしています。
 以上の6例とも、美しい日本語で表現しようという姿勢が全く見られません。これは、この特定の日だけのことではありません。日本を代表する日刊新聞も、日本語を大切にしようとする気持ちが喪失しているようです。
 もうひとつ、同じ日にこんな見出しがありました。

⑦JAL、CAパンプス履かなくてOK
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年3月24日・朝刊、14版、7ページ、見出し)

 本文には、「日本航空が4月から女性客室乗務員(CA)らの靴の規定を見直すことが23日、明らかになった。これまで3-4センチのヒールのあるパンプス(足の甲があいた靴)を着用するルールだったが、4月からは高さ0センチでも可能とし、ローファーなども認める。」とあります。アルファベット略語を3つ、外来語を1つ入れて、日本語は「履かなくて」だけです。「はかなくて」という言葉には、日本語が「はかな(儚)くて」という意味が掛けられているのでしょうか。
 このような新聞をNIEで使ったら、新聞がこんな書き方をしているのだから、これが正しい日本語の表記だと思われてしまいます。情けない話です。

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