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2020年4月30日 (木)

ことばと生活と新聞と(69)

東京から一方的に流す情報ではなくて

 私たちは、新聞であれ放送であれ、東京発のニュースを受け取り続けています。大阪で発行される全国紙であっても、記事の大半は東京で作られています。放送のニュースも同じです。東京で書かれ編集された紙面を全国に流しているのが全国紙ですし、県域などで発行される新聞も、東京発の通信社記事を載せて、同じような傾向があります。地域の放送局であっとてもニュースは東京発です。
 政治や経済のニュースは東京発になるのは当然でしょうが、腹立たしいのは、それらのニュースが東京人の感覚で書かれ、編集されていることです。文化や生活に関することまで東京化されているのは苛立つことです。東京のことは詳しく伝えて、地方のことはおろそかにするというのが報道の常です。
 東京から流されるのは、政治・経済などの客観的事実だけに限り、それ以外は地域の感覚でニュースにまとめるということになれば嬉しいと思います。大阪発祥の朝日新聞ですら、今では東京感覚で編集されているように思いますから、東京からの脱皮が課題でしょう。
 さて、県域新聞などが手を携えて記事を書こうとすることが進められています。地域の取材については、全国紙とは違った手腕を持っていますから、それらの新聞が連携するのは望ましいことです。
 こんな記事を読みました。

 地方紙が互いの記事を交換したり、共同制作したりする動きが広がっている。部数が減るなか、新たなコストをかけずに記事の幅を広げる試みだ。地元のニュースは自社で取材し、それ以外は通信社から配信を受けるという従来の紙面づくりが変わりつつある。 …(中略)…
 地方紙は、海外発や東京発、全国的なテーマのニュースについては、各地に取材網を持つ通信社から配信を受けている。通信社を支えるのは地方紙などが払う分担金だが、各紙とも部数減で経営が苦しい。ある地方紙関係者は「分担金は年々、重荷になっている」と言い、地方紙連携が通信社に頼る割合を下げることにつながるとみる。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年4月21日・朝刊、14版、25ページ、土屋亮)

 およそ20社から成る連携で、北海道新聞、河北新報、東京新聞、中日新聞、京都新聞、神戸新聞、、中国新聞、西日本新聞などの主要な新聞が参加しています。新聞社の経営コストに関わる問題から発した連携でもあるようですが、そんなことよりよりも、脱東京という点から望ましいことだと思います。通信社との関係が薄らぐことは、脱東京ということと軌を一にします。東京における政治・経済の取材については東京新聞(中日新聞東京本社)を中核におけば、成り立つでしょう。各紙が連携しつつ、地域色を薄めない編集を続ければ、全国紙3紙よりも魅力的な新聞になることでしょう。地元地域のニュースについては、全国紙などを寄せ付けない取材力をすべての新聞社がそなえていることと思われます。全国紙の地域版の貧弱さは情けない感じです。情報量の少なさは、県域紙に完全に水を空けられています

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