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2020年4月 9日 (木)

ことばと生活と新聞と(48)

「ゴリゴリ」と「ガリガリ」


 まず、新聞コラムを引用します。

 「ゴリゴリの理系」「ゴリゴリの佐賀弁」「ゴリゴリの少女漫画」。「著しい」に似た意味で、ゴリゴリが使われる例を見聞きします。
 明治大学教授の小野正弘さんによると「濁音で始まる和語は通常あまりよいニュアンスは伴わない」そうです。「無理やりに、または力任せに押し通すさま」(岩波国語辞典)、「かたくなで頑迷なさま」(日本国語大辞典)と、辞典では批判的な意味をもって紹介されています。
 ですが、「ゴリゴリの理系」などは不快な意味で使われておらず、むしろ肯定的に使われています。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年2月1日・朝刊、13版S、9ページ、「ことばサプリ」、武長佑輔)

 「著しい」に似た意味で「ゴリゴリ」が使われているということは知りませんでした。
 見聞きしたことがありませんから、どのようなニュアンスが込められているのか判断できないのですが、「ゴリゴリの理系」「ゴリゴリの佐賀弁」「ゴリゴリの少女漫画」が肯定的に使われているという、その「肯定」の度合いがよくわかりません。
 このコラムを読んだときに、私がすぐに思い浮かべたのは、「ガリガリ」という言葉でした。「ガリガリ勉強する」⇒「ガリ勉」というふうに使う、「ガリガリ」です。これを代入すると、「ガリガリの理系」「ガリガリの関西弁」「ガリガリの推理小説」という言葉遣いができます。このような言い方は、私が小さかった頃は、地域語として使っていたように思います。意味は、「著しい」という意味もありますが、「ひたすら。もっぱら」という意味の方が強いかもしれません。
 「ガリガリ」という言葉は「我利」に通じますから、「ガリ勉」も、「ガリガリの理系」「ガリガリの関西弁」「ガリガリの推理小説」も、他人がどう考えようとも、もっぱら一つの方向に進めているという印象が伴います。その意味では、少しは批判的な語意もあったのかもしれません。なにしろ、濁音で始まる和語ですから。
 擬音語・擬態語などの使用は印象に左右されますから、「ゴリゴリ」が、不快な意味ではなく、むしろ肯定的に、使われることでしっかりとした地位を得ていくのかどうかわかりません。印象が悪ければ使われなくなるのです。そういう意味では、まだ、流行語の位置にあるのではないでしょうか。私は、肯定的な意味を持つ言葉として定着していくのは難しいのではないかと考えています。

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