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2020年6月24日 (水)

ことばと生活と新聞と(124)

エラそうに聞こえます


 「大学目薬」という名前の目薬があって、これはなじみの商標のようになっていますが、似たような例として、次の記事を見ました。

 「教授マウススプレー」という口腔ケア商品を、サプリ販売会社「ナチュレ・ホールディングス」(大阪市)が4日、通販サイトで発売した。
 効果は実証済み。口内菌には広島大の二川浩樹教授(口腔生物工学)、口臭には近畿大の野村正人名誉教授(天然物有機化学)の研究が生かされた。
 市場に出にくい大学の研究に利益を還元したいと、同社が販路を提供した。「学術的に保証された質の高さを実感して」と担当者。税込み2862円。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年5月6日・朝刊、14版、24ページ、「青鉛筆」)

 「市場に出にくい大学の研究に利益を還元」するという意図のようですが、「教授……」と名づけた商品を、消費者はどのように感じるでしょうか。売れてほしいとは思いますが、どのような売れ行きになるのか、結果を知りたいと思います。
 そんなふうに思うのは、理由がありまして、書名に『(大学)教授の……』とか『先生の……』と名づけたものが売り出されることがあります。「〇〇の権威者が書いた……」というような宣伝文句もありますが、ずばり書名に書かれると、私は買いたくなくなってしまいます。「大学の研究に利益を還元」するというような目的ではなく、その本を売らんがための名付けだと思うのです。まして、出版社が勝手に名づけたのではなく、著者の了解があってのことです。極端な場合は『リンボウ先生の……』というような名づけもあります。権威主義的であると思いますとともに、著者の思い上がりも感じて、私は内容に興味がある場合でも、買い求めるのは遠慮してしまいます。
 朝日新聞にも同じようなタイトルの連載記事があります。「千田先生のお城探訪」というのが地域版で続いています。「先生」の、髭を撫でている顔写真が毎回、載っていますが、読む気にはなれません。
 ついでに言うと、『あなたが知らない……』とか『読まないと損 ……』とかの書名にも、著者の思い上がりを感じます。読者の知らないことを著者は知っている、教えてやるから読め、と言わんばかりの書名です。そのような書名をシリーズにしている著者もいます。
 本を次々に書く人は、売れたらよい、そのための宣伝だと思っているのかもしれませんが、そのような書名を目にすると(書店で見ることもありますし、新聞広告で見ることもあります)、著者にちょっとした心の細やかさがそなわっておればよいのにと、残念な気持ちになることがあります。

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