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2020年6月 5日 (金)

ことばと生活と新聞と(105)

和製英語とは何か


 新型コロナウイルスの感染拡大によって、今年のゴールデンウィークは例年とは違った様子になりました。ゴールデンウィークという言葉の華やかさとは裏腹に自宅に閉じこもる生活になりました。
 そのゴールデンウィークという言葉について書かれているコラムがありました。

 「黄金時代」に「黄金世代」「黄金比」……。黄金の輝かしい響きは、どこか人をわくわくさせます。これらはみな、英語でもgoldenで表されることば。黄金へのポジティブな印象は、海を隔てても共有されているようです。
 でも、海外にはない「黄金」もあります。黄金週間(ゴールデンウィーク)はその一つ。1950年代に日本の映画界が、盆や正月以上に客が増える春の連休中に大作を封切るようになり、キャンペーンで使われ始めたと言われています。日本の祝日でできている連休のため、海外にゴールデンウィークはありません。一種の和製英語と言えます。 …(中略)…
 NHKではこのことばを使わずに「大型連休」などと表現しているそうです。朝日新聞では特に決まりはありませんが、本文で「春の大型連休」と書いて、見出しは「GW」とするようなケースもあります。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年5月2日・朝刊、13版S、9ページ、「ことばサプリ」、森本類)

 この文章に関して、私が考えていることを述べます。
 世の中には、外来語と外国語を同一視している人がいます。日本語の文章の中に外来語が出てくる場合に、それを原語に近い発音をして、学のあるところを見せようとする人がいますが、それは間違っています。外来語は、外国語に由来する言葉ですが、日本語の発音に直した言葉です。日本語の文章の中で使われる外来語は、もとの原語ての発音がどうであれ、日本語の発音やアクセントで発音される言葉なのです。
 ゴールデンウィークやナイターという言葉などを「和製英語」と呼ぶことがありますが、正しい呼び方ではないと思います。日本で英語の単語を作ったのであれば和製英語ですが、日本語の文章の中で使われる外来語を、原語とは違う形で作ったものです。原語にはない外来語を和製しているのです。
 NHKは徹底して、ゴールデンウィークという言葉を使わないようにしているようです。あるアナウンサーが何げなくゴールデンウィークという言葉を使い、それに気付いてすぐに黄金週間と言い直したことがありました。広く行きわたっている言葉ですから、かたくなに禁止しようとしていることに、かえって違和感を覚えました。
 ゴールデンウィークやナイターという言葉は、広く使われていますから、外来語の一種でしょうが、日本語としての地位も確立しています。そんな言葉を排除しようなどとは思いません。
 けれども、日本で作ったゴールデンウィークという言葉を「GW」などというアルファベット略号で表すことは望ましいことではありません。新聞見出しの言葉の乱れについては、ブログで何度も指摘してきたとおりです。
 私は、名詞にあたるものを外来語で表現することは仕方がない場合も多いと思っています。けれども、用言(動詞、形容詞、形容動詞)は外来語をできるだけ使わないで、本来の日本語を使うように努めるべきだと思っています。例えば、「黄金へのポジティブな印象」という表現の「ポジティブ」は、日本語で言い換えればどう表現するのがよいのでしょうか。ポジティブを国語辞典で引くと、「肯定的な」「積極的な」という言葉で説明されていますが、そんな言葉で置き換えるよりも、「心引かれる」「心躍る」「わくわくするような」などという言葉で表現する方が、心に届くと思います。筆者は、ポジティブという言葉にどのような意味を込めて使ったのだろうかと首を傾げるのです。

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