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2020年7月14日 (火)

ことばと生活と新聞と(144)

「バズる」とはどうすること?


 大きな文字で〈「バズる」記事やめ 出会った豊かさ〉という見出しのインタビュー記事が載っていました。「バズる」とはどういう意味なのか、その言葉を知らない私には、記事を読んでも意味を推測することはできませんでした。
 本文で「バズる」が使われているのは、次の箇所です。

 数年前までは、記事がいつもソーシャルメディアでバズるので「バズライター」と呼ばれることもありました。個人ブログが一晩で数万アクセスを記録し、新しい働き方と注目いただいたことも。紹介した商品が売り切れる現象も起こり、「商品のバズらせ方」を教えて欲しいと依頼され、企業のコンサルティングもしました。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月3日・朝刊、13版S、20ページ、「明日へのLesson」、加藤勇介)

 文筆家の塩谷舞さんに聞いたことをまとめた記事です。文章全体は引用した分量の6倍余りの記事ですが、「バズる」が使われているのはこの部分だけです。けれども、その「バズる」という言葉を見出しにも使っています。「バズる」ことをやめて豊かさに出会ったというのが見出しの意味ですから、「バズる」の意味が理解できなかっても、文章のいちばん言いたいことには差し支えないのでしょう。
 それにしても「バズる」とは何か、気になります。国語辞典に載っているはずはありませんから、インターネットで調べてみます。
 そうすると、さまざまな説明がされていることがわかりました。〈インターネット上で口コミなどを通じて一躍話題となる〉、〈ウェブ上である特定の事柄について話題にする〉、〈話題が爆発的に広がり多くの人の話題を集める〉などというような説明です。説明の重点の置き方は微妙に異なるところがありますが、共通点は「話題になる」ということのようです。
 どうして「バズる」をやめて「話題になる」という言い方をしないのでしょうか。「バズる」はインターネット上でのことに限定されているからなのでしょうか。そうであっても〈「話題になる」記事やめ 出会った豊かさ〉という見出しにしても、意味はじゅうぶん伝わります。
 本文の〈記事がいつもソーシャルメディアでバズる〉は「……話題になる」にしても意味はとおります。同様に、〈「バズライター」〉は「話題を集める書き手」と書けますし、〈「商品のバズらせ方」〉は「商品の話題の集め方」と書けます。インタビューの相手が使った言葉をそのまま用いて記事を書くのは楽なことですが、文章には工夫が必要でしょう。
 塩谷さんの人物紹介にも「フリーマガジン」「ウェブディレクター」「オピニオンメディア」などの片仮名が頻出しています。言われたとおりに書くのは楽ですが、これも工夫が必要でしょう。
 広く定着していない外来語を使って記事を書くときには、使ってよいかどうかの吟味をしっかりとしてほしいと思います。

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