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2020年7月15日 (水)

ことばと生活と新聞と(145)

ふだんの言葉で感染防止


 新型コロナウイルスの感染を防止するためにはいろいろな方策が用いられました。政府による緊急事態宣言や、東京都の東京アラートなどです。いろいろな行動の自粛も呼びかけられましたが、自粛と言えども強い働きかけであったと思います。それぞれが効果を発揮したことは確かですが、そのようなものが解除されたら感染者数が増えることになるのでは困ります。
 上の方から命じられたら従う、強く求められたら行動を改める、というような姿勢ではコロナ禍から抜け出すのは長い時間が必要になるのではないでしょうか。東京の感染者数が200人を超え、東京に隣接する県の感染者も2桁になりました。こんなことでは全国に広がって、大きな第2波を迎えてしまうかもしれません。首都圏の数字が目立っています。
 人々の心の持ち方が重要です。心に影響を与えるのは言葉です。非常だ、緊急だ、アラートだというような言葉ではありません。普段から自分の心を支えているような言葉が大切です。
 感染防止を津軽弁で呼びかける缶バッジが作られたというニュースがありました。

 地元出身者からは「3密防止と言われるより、しっくりくる」、県外客からは難解な津軽弁が「わからないのがおもしろい」と好評で、販売を始めた4月からの1カ月間で計千個以上を売り上げる人気となっている。 …(中略)…
 感染防止を呼びかける津軽弁は3種類で、「たがればまいね」(集まったらダメ)、「したらにねっぱぐな」(そんなに密接するな)と、3密の回避を促し、「いづだかんだあさぐな」(不要不急で出歩くな)と訴える。 …(中略)…
 「密集といわれても(人数は)何人から?と思うが、『たがれば』と言われればピンと来る」と田村さん。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年5月25日・夕刊、3版、5ページ、「地域発 青森県」、林義則)

 心に訴えかける言葉が届いたら、人々の行動も変わってくるのです。全国共通語のただ中にいる首都圏にいる人よりも、それぞれの地域に住んで方言を身に付けている人の方が、こういう言葉を心の中にたくさん持っているのでしょう。
 津軽弁の表現よりも言葉が長くなりますが、関西に住む私たちなら、こんな言い方をするかもしれません。
 「ひととこ(一所)に、そないにぎょうさん(仰山)、かたまったら、あかんがな」
 「あわ(慌)ててい(行)かんでもええとこ(所)へは、である(出歩)かんとこ」
 短く言うなら「かたまったらあかん」「あわててであるかんとこ」ということになりますが、そんな言葉の方が胸に響きます。単刀直入に、普段の言葉で語りかけたいものです。

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