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2020年7月 9日 (木)

ことばと生活と新聞と(139)

「かたち」と「カタチ」と「形」


 ある日の夕刊と翌日の朝刊とに、大きな見出しがあって、同じ言葉がカタカナとひらがなとに書き分けられていました。
 それぞれの記事の見出しとリード文とを引用します。

 プロ野球 新しいカタチ / 当面は無観客・エアタッチ・球審マスク / ジェット風船タオル・共にZOOm観戦
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月6日・夕刊、3版、1ページ、見出し)
 プロ野球が19日、3カ月遅れで開幕する。新型コロナウイルスの感染を防ぐため、選手らは接触を極力避けるなど新しいスタイルで試合に臨み、当面の間は観客を入れないため応援風景も変わる。コロナ時代のプロ野球はどうなるのか。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月6日・夕刊、3版、1ページ、木村健一・室田賢・伊藤雅哉)

 新しい旅のかたち / オンライン宿泊してみた / 画面越し「農場ツアー」に活路 / 心に革命起こす機会 / 「人と人」に新発想を / 温泉旅「不要」と言われぬために / 観光地、顧客層広げて
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月7日・朝刊、13版S、7ページ、「フォーラム」、見出し)
 自由な移動は制限され、レジャーを楽しむこともままならない。空前の訪日観光ブームから一転、観光地は新型コロナウイルスで深刻な苦境にあります。でも、今だからこそ日常を離れ、旅がしたい。そう願う人も多いはず。新しい生活様式になじむ新しい旅の可能性とは。旅する人、受け入れる人の声から探ります。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月7日・朝刊、13版S、7ページ、「フォーラム」、担当執筆者多数)

 「カタチ」や「かたち」は、見出しに使われるほどですから、キイワードと言ってよいでしょう。けれども、リード文や本文では使われていません。簡単な意味ではなく、いろいろな意味合いを込めた言葉として使っているようです。
 プロ野球の記事のリード文から「カタチ」に近い言葉を探すと、「(新しい)スタイル」「(変わる)風景」といったところでしょうか。
 旅の記事のリード文から「かたち」に近い言葉を探すと、「(新しい)生活様式」になじむ「可能性」といったところでしょうか。
 どうやら、「かたち」や「カタチ」という仮名書きの言葉は、「形」という漢字書きの言葉よりも、広い意味をそなえているようです。国語辞典では「形」という語の意味をそこまで広げて書いているわけではありません。だから漢字の「形」を使わないで、仮名書きにするのは理由のあることだと思います。
 それにしてもカタカナ、ひらがなを自由に使ってよいというものではないでしょう。そのことについてはきちんと法則を設けるべきです。
 カタカナだとカタチという表記で強調されますが、ひらがなにすると「かたち」というようにカギカッコ付きにしたくなるという気持ちは理解できますが、私は、日本語(和語)をカタカナ書きにすることには賛成できません。日本語の表記は外来語と一線を画すべきであると考えます。

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