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2020年7月30日 (木)

ことばと生活と新聞と(160)

人名漢字は読み方自由でよいのか


 明石市の広報紙『広報あかし』には「わが家のアイドル」という欄があって、月に2回、4人ずつの幼児が写真とともに紹介されています。7月に掲載された計8人の名前(氏名の、名の方)は、望希(みさき)、蒼(あおい)、栞里(しおり)、蒼葉(あおば)、水希(みずき)、千彰(ちあき)、七椿(なつ)、梨太郎(りんたろう)という名前でした。親が、わが子の幸せな成長を祈って名づけたのだろうと思います。
 さて、よく似た漢字の「昴」(すばる)と「昂」(こう)は、どちらも人名に使われることが多いのですが、その漢字のことを紹介した文章に、次のようなことが書かれていました。

 「昴」。清少納言は「すばる」を美しい星の一つに挙げています。子どもの名前に使える人名用漢字に入ったのは意外と遅く、1990年でした。「昂」は「昴」より〝先輩〟で、81年に入っています。
 ある有名なスポーツ選手は自分の子どもに昴と付けたかったのですが、その時点では使える字でなかったため、形の似ている「昂」を使い「すばる」と読むことにしたといいます。人名に使える字の種類には制限がありますが、読み方は自由ですから、こんなウルトラCもできるわけです。
 (読売新聞・大阪本社発行、2020年6月27日・夕刊、3版、6ページ、「漢字の感じ」、鳥居美樹)

 記事の内容には異論はありません。その通りです。ただし「ウルトラC」などという言葉を使って褒めてよいのでしょうか。
 問題は、このようなことを決めた側(国)にあります。常用漢字や人名用漢字を制定することには賛成です。けれども、人名に関してはもっと文字数を増やしてもよいのではないでしょうか。制限を設けなければ、現在ではほとんど使うことのない文字や俗字のようなものを選ぶことも起きるでしょうから、制限は必要です。けれども、使える文字はもっと緩和してはどうでしょうか。
 それとともに、読み方には一定の枠組みを設けるべきです。「昂」と書いて「すばる」と読んでもよいということだけではなく、もっともっと異なった読み方であっても、すべて許容されているのです。
 「金」と書いてゴールデンとも読んてもよし、マネーと読んでもよし。「山」と書いて「うみ」や「かわ」と読んでもよいのです。そんな極端な読み方はないでしょうが、かなり凝った読み方は現実に存在しています。親の願いで付ける人名ですが、子どもにとっても納得できるものでなくてはなりません。「昂」と書いて「すばる」と読ませることは、誤用だという印象を周囲に与えてしまいます。
 萬葉仮名のような読み方などは許容してもよいと思いますが、余りにも特異な読み方を排除するルール作りは必要であると思います。

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