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2020年8月 4日 (火)

ことばと生活と新聞と(165)

コロナ禍と文字と短歌


 新型コロナウイルスの感染者数は、政府がGO TOトラベル事業を開始したのに合わせるように拡大しています。あんなにしばしば会見を開いていた首相が、今は知らんぷりをしています。経済活動にも力を注がなければならないことは理解できますが、国民の心から離れた施策では支持されないことになってしまいます。
 ひとりひとりは健気に生きています。コロナ禍に関連して、文字を分解して、それを歌に詠み込むという、楽しい記事を2つ見ました。

 「しばらくは 離れて暮らす 『コ』と『ロ』と『ナ』 つぎ逢ふ時は 『君』といふ字に」。新型コロナウイルスの影響で大切に人と会えないつらさや未来への希望をつづった「短歌」が先日、ネット上で話題になった。
 「コ」と「ロ」と「ナ」を足し合わせると「君」という文字になる--。そんな歌がフェイスブックに投稿されたのが4月1日。作者は、大阪府内の百貨店で宣伝や広報を担当しながら、似顔絵を中心としたイラストを描いているタナカサダユキさん(56)だ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年5月11日・夕刊、3版、7ページ、若松真平)

 選抜の中止が決まった後の読売歌壇に一首あった。〈「泣く」の字をごらんぼくらは泣いたあとしずく拭えば立ち上がれるさ〉〈関根裕治〉。選者である俵万智さんの選評を借りれば、「泣」の字にあるさんずいのしずくを取ると、残るのは「立」なのである。
 (読売新聞・大阪本社発行、2020年6月27日・夕刊、3版、2ページ、「とれんど」、犬伏一人)

 単に文字の成り立ちを説明しているだけでなく、コロナの社会を生きる人の励ましにもなっていることに感心します。言われてみるとその通りですが、それに気づかなかったことに、はっとさせられるのです。

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