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2020年8月 2日 (日)

ことばと生活と新聞と(163)

新聞見出しが、無造作に略語を作り上げている


 こんな見出しの新聞記事がありました。

 高速道、ETC専用化検討 / 国交省、課題も / 新規に購入なら補助? / クレカ持たない人は? / 誤進入対策どうする?
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年7月4日・朝刊、14版、3ページ、見出し)

 「クレカ」とは何なのでしょう。ETCカードという言葉は知っていますが、「クレカ」は知りません。JR系の「スイカ」や「イコカ」という命名は知っていますから、「クレカ」という名のカードが新しく作られているのかと思いました。
 本文を読み進めていっても、「クレカ」という言葉はなかなか出てきません。結局、文章の最後まで読んでも「クレカ」は現れませんでした。
 文章の終わり近いところに、「車載器に入れるETCカードはクレジットカードに連動しているものが一般的だ。カードを持たない人には、保証金を預ける専用カードが必要で、サービスの拡充を検討する。」とありました。「クレカ」とは、クレジットカードを短く言ったものであることがわかりましたが、「クレカ」という言葉は一般化しているのでしょうか。
 取材記者はきちんと「クレジットカード」と書いているのに、整理部担当者が無造作に略語を作り上げているのです。その略語の作り方は、まったく恣意的だと思います。国語辞典が認めていなくても、一般の人々が使い方に慣れていなくても、そんなことはお構いなしです。たぶん新聞社にはルールなどは作っていなくて、担当者の判断にまかしているのでしょう。これまでも、新聞見出しの不都合な表現については、何度も指摘してきましたが、このことに関して新聞社の考え方を聞いたことは、まったくありませんでした。これからも整理部担当者任せの野放図が続くのでしょうか。取材記者はきちんとした言葉を使っているのに、整理部が日本語の正しい表現を打ち壊そうとしているように感じます。
 新聞も放送も日本語を正しく使ってほしいと思います。文字数を減らさなければ見出しは書けないというのは、勝手な逃げ口上です。美しい日本語を使うことこそ報道機関の使命であると認識しなければなりません。

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