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2020年8月 5日 (水)

ことばと生活と新聞と(166)

肌の色は「肌色」とは限らない


 アメリカで起きた黒人暴行死亡事件をきっかけにして、人種差別につながる社会行動への反発が強まりました。肌の色についての人々の意識も変化していくでしょう。
日本で使われ続けてきた「肌色」という言葉について見直そうという動きがあることが記事になったのはもう20年以上も前のことでした。こんな記事でした。

 子ども用のクレヨンや色鉛筆で使われる「肌色」という色名を見直そう、という動きが活発化している。「肌の色への固定観念を植えつけ、差別につながる」との批判を受け、大手メーカーの「ぺんてる」が、昨秋からクレヨンや絵の具の「はだいろ」を英語名の「ペールオレンジ」に切り替え始め、鉛筆の生産業者の組合も今年一月、色鉛筆の色名から「肌色」を除くことを決めた。「多様な肌の色を認めるきっかけ」と評価する声がある一方、「長年使われてきた色名は守るべきだ」といった意見もあり、議論を呼んでいる。
 (朝日新聞・大阪本社発行、1999年4月1日・朝刊、13版、25ページ)

 「空色」は地球上のほぼすべての人たちが同じ色を思い浮かべるかもしれませんが、「水色」はそうでないかもしれません。黒っぽい色や黄土色の水を見慣れている人たちもいるかもしれません。「肌色」は日本人の肌の色に限っても同じではありませんし、世界の民族では多様です。
 クレヨンや色鉛筆の「肌色」は、理想的な色として作り上げられた色であって、必ずしも日本人の肌の色と一致しているわけではないでしょうが、絵を描いたときに人の肌には「肌色」を塗るのが当たり前だというようにして、指示や標準化や理想化したりするのは望ましくないでしょう。
 白い肌色こそ美しいという意識も、世界に共通するものではありません。化粧品メーカーにも表現を改める動きが出てきているということを伝える記事がありました。

 欧米メディアによると、世界最大手の仏ロレアルは27日、スキンケア商品について「ホワイト(白い)、フェア(色白)、ライト(明るい)の文言を取り除くことを決めた」と発表した。米大手のジョンソン・エンド・ジョンソンは一部商品名などが「白いことが本来の肌の色より良いかのような表現になっていた」とし、「健康な肌こそが美しい肌だ」と表明。ユニリーバは広告起用も見直し「異なる肌の色の女性を取り上げ、インドや他地域の美の多様性を表せるようにしたい」と述べた。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年6月30日・朝刊、13版S、6ページ、下司佳代子・和気真也)

 日本のテレビ・コマーシャルを見ても、色白、美白、ホワイトなどという言葉が大手を振って宣伝用語に利用されているように思われます。

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