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2020年9月12日 (土)

ことばと生活と新聞と(204)

意味はわかるが国語辞典にない「お盆玉」「じいじ」「ばあば」


 新型コロナウイルスの感染拡大に関して、新聞には俳句、短歌、川柳などをはじめ、いろいろな投稿が掲載されています。こんな作品が掲載されていました。一読して、内容は理解できます。

  リモート帰省
 お盆玉は送ってね!
          --孫
 じいじ・ばあばへ
     (新居浜・てんまく)
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月14日・朝刊、13版S、6ページ、「かたえくぼ」)

 私は、生まれも育ちも現住所も同じところです。親戚の住まいも東播磨(瀬戸内沿岸)から神戸にかけてです。子や孫も近くに住んでいます。つまり正月やお盆の帰省などということとは無縁の生活を続けてきました。
 正月にお年玉をもらう・あげるという習慣はありますが、私の場合、お盆に同じことをする習慣はありません。
 さて、上に引用したものに「お盆玉」という言葉があります。言葉の意味はすぐにわかりますが、私は使ったことはありません。耳にしたり目にしたりしたことがないとは断言できませんが、私の語彙にはない言葉です。
 「お盆玉」という言葉と、「お」を省いた「盆玉」という言葉を、『広辞苑・第4版』、『岩波国語辞典・第3版』、『現代国語例解辞典・第2版』、『明鏡国語辞典』、『三省堂国語辞典・第5版』、『新明解国語辞典・第4版』、『旺文社国語辞典・改訂新版』で引いてみましたが、どの辞典にも出ていませんでした。
 投稿者は愛媛県新居浜市の方のようですが、地域的な言葉(方言)であるのかどうかはわかりません。新聞の編集者にとっては自明の言葉であって、全国の誰にも理解できる言葉であるという判断をしているように思われます。(そうでなければ掲載しないでしょうから。)
 もし、この言葉が全国で広く使われているのならば、国語辞典の編纂者が共通して見落としている言葉であると言わなければなりません。
 ついでながら、「じいじ(=祖父)」「ばあば(=祖母)」という言葉は、全国で使われている言葉でしょう。けれども、この言葉も上記の国語辞典のすべてが記載していない言葉でした。
 少なくとも「じいじ」「ばあば」については、祖父や祖母に対して親しみをこめて呼ぶ言葉であるという説明を、国語辞典はすべきでしょう。カタカナ語や新語・流行語を追い求めるよりも、ごく普通の日本語についてきちんと説明するということを、国語辞典は心がけてほしいと願っております。

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