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2020年9月28日 (月)

ことばと生活と新聞と(220)

「限定的」とは、ごく僅かでしかない


 政治のことだけではなく、経済に関することでも、その他のことでも、新聞や放送で使われる言葉に疑問を持つことがあります。正しく表現していない、あるいは、よくわからないから適当な(いい加減な)表現をしている、というような印象を持つことがあります。「〇〇的」という言葉があふれていますが、この言葉で表現されたものにはあまり信頼が持てません。
 そのうちのひとつ、「限定的」というのはどれほどの程度を示す言葉なのでしょうか。「Go To効果限定的 / 遠距離移動控える傾向 開始1カ月」という見出しの記事がありました。「限定的」とは、じゅうぶんではないという意味だとは思いますが、どれぐらいの程度を示す言葉なのでしょうか。
 私の思いでは、「限定的」とは、じゅうぶんな状態の半分にも満たないで、せいぜい10%か20%程度のことを表しているように思います。もし、そうであるとすれば、「限定的」という言葉は、誤魔化しの言葉のように思えます。60%でも80%でも「限定的」という言葉は使えるかもしれませんが、それほどの割合のものに「限定的」という言葉を使っているようには思えないのです。

見出しを引用した記事の本文には、数値を表すものは1カ所しかありませんが、それを引用します。

 政府の観光支援策「Go To トラベル」事業が始まってから、22日で1カ月になる。新型コロナウイルスの感染が収まらないなか、人出は大きく落ち込んだままで、効果は限定的といえそうだ。 …(中略)…
 JR旅客6社のお盆期間の利用者は、前年の24%にとどまるなど、遠距離の移動を控える傾向がうかがえる。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月22日・朝刊、13版S、6ページ、高橋尚之・藤谷和広)

 事業を行わないよりは、行った方が少しは「まし」だったとは言えるでしょうが、その程度のことを「効果(が)限定的(に、あった)」と言えるのでしょうか。
 はっきり言って、前年の24%にとどまるというような数字で、効果があったとは言えないと思います。それを、「効果ほとんど無し」と言わないで、「効果(は)限定的(に、あった)」と表現するのは正しくないと思います。それならば前年比3%や5%の数字にとどまっても、効果があったということになるのですから。ゼロ以外はすべて、限定的な効果があったということになるのでしょう。
 つまり、「限定的」という表現は、〈ほとんど無い〉という程度であっても使われる言葉であるということでしょう。それは政治家や経済関係者が使うだけでなく、報道関係者も使っている言葉だということになるのでしょう。気を付けて読まなければ、間違った印象を与えられてしまいそうです。

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