« ことばと生活と新聞と(215) | トップページ | ことばと生活と新聞と(217) »

2020年9月24日 (木)

ことばと生活と新聞と(216)

「踊る市場」という言葉から受ける印象


 言葉は、国語辞典に書かれているような意味のまま使うことがありますが、比喩の使い方や文学的表現などをすることもあります。当然過ぎる言葉遣いでは面白くありませんから、通常の使い方とは異なるような表現をすることもあります。
 今年はサンマが不漁であると言われておりましたが、実際その通りで、庶民の口には届きそうにありません。こんな見出しの記事がありました。

 踊る サンマ市場 / 初競り最高値 昨年の5倍
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月24日・夕刊、3版、9ページ、見出し)

 「踊る サンマ市場」という言葉を見ると、大盛況のような印象です。取扱量が多く、値段も高くなっているような感じです。それにしても、「踊る」という、称えるような表現するのですから、何かの意味が込められているようです。本文を読んでみると、次のようになっています。

 代表的な秋の味覚であるサンマの棒受け網漁の初競りが24日、北海道厚岸町の厚岸漁港市場であった。1キロ当たりの最高値は1万1千円(金額はいずれも税抜き)となり、昨年の初競りの最高値2330円の5倍近い値がついた。
 厚岸漁港で23~24日にあった中型船4隻による初水揚げは約900キロ。昨年の同じ漁の初水揚げ約40トンの2%強にとどまった。 …(中略)…
 サンマの漁獲の大部分を占める棒受け網漁が急回復しない限り、庶民には縁遠い「高級魚」の状態が続きそうだ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月24日・夕刊、3版、9ページ、大野正美)

 「おどる」という言葉は「踊る」の他に「躍る」の文字遣いもありますが、どちらの文字であっても、読者にとって心おどるような内容が欲しいと思います。記事を読み終わった印象では、今年のサンマは高くて口に入りそうにないという寂しさだけが残ります。「踊る」というのは、高値であるということだけのようです。漁業者も市場関係者も、「踊る」ような心は持てなかったのではないでしょうか。
 これは大阪本社版の見出しですが、同じ記事が全国の紙面に掲載されたことでしょう。他の本社版の掲載記事の見出しはどうなっているのでしょうか。知りたいと思います。

|

« ことばと生活と新聞と(215) | トップページ | ことばと生活と新聞と(217) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ことばと生活と新聞と(215) | トップページ | ことばと生活と新聞と(217) »