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2020年9月 2日 (水)

ことばと生活と新聞と(194)

「前向き駐車」とは、どちら向き?


 もう何年も前から、見つけたら写真を撮り続けてきたものがあります。駐車場に、駐車の方向を指示した看板が立てられているのですが、その指示に迷う人も多いようです。「前向き駐車をお願いします」という言葉の意味が、正しく伝わっていないようなのです。駐車場に入ってきて、そのまま前進して止めている車もあれば、出発しやすいような向きにして止めている車もありました。
 この看板が気になりだした頃は、出発しやすい方向に入れ直したものを「前向き」と解釈していた人が多かったように思いますが、近頃はそのまま前進して止めることだと解釈している人が多いように思います。
 もちろんそんな指示に無頓着な人も多いようですし、前に止めた人に見習ってみんなが同じ方向になっているような姿もありました。
 要するに、何のために、どの方向に向けたものを「前向き」というのかが理解できなかったら、迷うということになります。「前向き駐車」という言葉は、別の言葉に改めるのが望ましいことは確かです。
 こんな文章がありました。

 「前向き駐車」は、どんな駐め方を言うのでしょうか。車の前面が見えるようにバックで入れることかと思ったら、実は、前面を奥に向けるのだそうです。どの方向に対して前向きかということが、この呼び方では分からないですね。 …(中略)…
 バックで入れると、背後の住宅などに排ガスがかかって迷惑になる場所もある。そこで「前向き駐車」をするのです。 …(中略)…
 「前向き駐車」も、別の所では「前進入庫」「前進駐車」という表現も使われます。バックの場合は「後進」です。これなら、誤解が少ない表現と言えるでしょう。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月22日・朝刊、be3ページ、「街のB級言葉図鑑」、飯間浩明)

 「排ガスが迷惑にならないように、前向き駐車をお願いします」と書いているの見かけるようになりました。理由を書けば、すぐに納得できることなのです。言葉は、意味が伝わることも大事ですが、意図が伝わることの方がもっと大事なことです。

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