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2020年9月27日 (日)

ことばと生活と新聞と(219)

「甘じょっぱい」は東京語?


 自分たちの地域では使わないし、書き言葉の文章でもお目にかかることが少ないような言葉に出くわしたときには、一見、共通語のように感じられるけれども、それは東京の方言ではないかと思うことがあります。
 東京の方言という意味は、東京の人(たぶん)によって書かれた言葉が、全国で通用するような意識で使われているということです。そのような言葉はいくつもありますが、今回は並べあげることはしません。
 甘辛いということを「あまじょっぱい」というのもその一つのように感じています。こんな文章がありました。

 冷たくつるんとしたのど越しのよさで、食欲のスイッチを入れてくれる夏の定番「玉子とうふ」。多くの人が、暑い季節の名脇役と認識していることでしょう。
 ところが青森のスーパーでは通年の人気商品。たっぷりの具材に甘じょっぱい味つけ、容量も豆腐並みと、玉子とうふとしてはいささか不思議な存在です。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年8月22日・朝刊、be7ページ、「お宝発見ご当地食」、菅原佳己)

 「しょっぱい」は国語辞典にきちんと記載されていますから、東京方言と言わなくてもよいのかもしれません。けれども関西では「からい」が主流であって、「しょっぱい」の意味は理解できますが、その言葉を使うことは少ないと思います。
 上に引用した「あま(甘)じょっぱい」は甘辛いということなのでしょう。ところが一瞬「あま(甘)ずっぱい」という意味かと間違えそうになりました。「あまずっぱい」という言葉には違和感がないからです。私たちの地域では「あまずいい」と言うことが多いのですが、「あまずっぱい」と聞いても違和感はありません。
 幾種類かの小型国語辞典で確かめてみますと「あまずっぱい」は載せていても、「あまじょっぱい」は載せていないようです。「しょっぱい」に比べて「あまじょっぱい」を使うことは極端に少ないのかもしれません。
 微妙な味わいを、地域で使われている言葉を使って表現することは、望ましいことだと思います。そのような文章を読むと、特別な味のようすが感じられたりします。詩的な表現のよさを感じたりするものです。けれども、ニュース的な文章に求められるのは、すべての人に等しく伝わるということかもしれません。

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