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2020年10月 8日 (木)

ことばと生活と新聞と(230)

「~すぎる」はマイナスイメージのはずだが…


 「オシャレすぎるパイプ椅子」という見出しの記事がありました。元気すぎて手を焼く、美しすぎて表現できない、走りすぎて疲れた、など、「~すぎる」という言葉は、仮に良い評価を与える言葉に付いても、いくらかのマイナスイメージを伴う言葉です。
 こんな文章がありました。

 愛知県安城市にあるデザイン会社とパイプ加工会社がコラボして「オシャレなパイプ椅子」を開発した。町工場の技術力を見せつけるためのデザインだ。
 パイプ椅子と聞いてイメージする「安っぽさ」を感じさせないデザインについて、ディーウェーバーの水野健一社長(49)はこう説明する。「便利さや汎用性を追求せず、万人受けする必要がない。見せたかったのはパイプ加工技術とデザインです」 …(中略)…
 きれいなS字形のデザインを具現化するには、曲げるための機械を操作するスピードが速すぎても遅すぎてもダメ。最後にものを言ったのは手作業による経験と勘だった。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年9月2日・夕刊、3版、5ページ、「朝デジから」、若松真平)

 本文で使われている「速すぎても遅すぎてもダメ」という言い方こそが「~すぎる」の本来の言葉遣いです。「オシャレすぎるパイプ椅子」というのは「オシャレ」を磨き上げたという最上級の褒め言葉として使いたかったようです。「美味しすぎる」などという言葉がテレビなどで使われていることは知っています。けれども、その真似をしてよいとは思いません。
 本文の「オシャレなパイプ椅子」が、見出しでは「オシャレすぎるパイプ椅子」に変わっています。記事を整理する記者が、原稿を書いた記者の表現を誇張して使っているのです。
 例によって例のごとし。本文に使われていない言葉で、勝手に見出しを作っているのです。本文中にその表現がないのに、見出しに勝手な言葉を使うのは、記事内容を飾ろうとする「誇大宣伝」にあたるということを気づかないといけません。

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