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2020年11月 1日 (日)

ことばと生活と新聞と(254)

「型崩れした見出し」の横行


 世間は、と言いましょうか、新聞やテレビは、と言いましょうか、Go To支援事業で盛り上がっているようですが、何一つGo Toは利用しておりません。税金を使っての事業ですが、効果があるのでしょうか。
 こんな見出しの記事がありました。

 Go To効果 なお不安 / 日銀短観 / 宿泊・飲食 小幅な回復
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月2日・朝刊、13版S◎、3ページ、見出し)

 「Go To効果 なお不安」という言葉の意味が曖昧です。どういう意味なのでしょうか。2通りに取れるように思います。
 ①Go To事業は効果があったが、(効果は上がっても、) 景気回復などには不安が残っている。
 ②Go To事業の効果を判断すると、(効果は上がっておらず、) 景気回復には不安が残り続けている。
 この2つの意味のうち、どちらなのでしょうか。
 この記事は、日本銀行の9月短観が、6月調査から改善したというニュースですが、「Go To」という言葉が使われているのは、次の2カ所だけです。

 1日には、旅行代金の半額が補助される政府の観光支援事業「Go Toトラベル」に東京都発着が加わり、都外からの客数増が見込まれる。とはいえ、感染防止対策で入場者数を以前の2~3割に抑えざるを得ず、コロナ禍以前とはほど遠い状態が続く。 …(中略)…
 蒸発した需要を取り戻そうと躍起になる政府は今月以降、消費喚起策「Go Toキャンペーン」を拡大させる。飲食店を支援する「イート」では、グルメサイトで予約した人に、次回以降に使えるポイントを還元する事業を1日に開始。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月2日・朝刊、13版S◎、3ページ、友田雄大・高木真也・佐藤亜季)

 上の①②のどちらの意味かは、本文を読んでも判断は難しいと思います。「Go To」の効果があろうとなかろうと、不安がいっぱいだと言いたいのかもしれません。それなら、こんな見出しではなく、別の書き方があったはずです。
 その記事の前日(10月1日)のコラムに、「型崩れした見出しに危惧」という文章がありました。こんなことが書かれています。

 これらの見出しの問題は、いわゆる「てにをは」の基本がなっていない、ということだ。「言語に精通する」とか「日本語力を高める」などと言われるとき、それは得てして、語彙を増やすことや、単語の意味をより深く理解することを指している。しかし、重要なのは語彙だけではない。単語の並べ方、助詞や接続詞の使い方、読点の打ち方など、言葉同士を結びつける様々な技法も、言語を形作る本質的な要素なのである。
 マスメディアは、言葉を武器に公権力とも対峙すべき機関だ。にもかかわらず、報道の場で、型崩れした言葉がこれほどの頻度で用いられていることには危惧の念を抱かざるをえない。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月1日・朝刊、13版S、26ページ、「古田徹也の 言葉と生きる」)

 このコラムで述べられていることにはまったく同感します。けれども新聞社は、ひとつひとつの意見は完全に無視して、自分が正しいと思っているようです。私は、このブログの文章をメールで新聞社に送り続けていますが、指摘している内容に対する回答をもらったことがありません。読者は新聞社に対峙できないのです。

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