« ことばと生活と新聞と(275) | トップページ | ことばと生活と新聞と(277) »

2020年11月23日 (月)

ことばと生活と新聞と(276)

民間調査会社による都道府県魅力度ランキング①


 民間調査会社による2020年の47都道府県の「魅力度ランキング」というものが発表された、と新聞などが報じました。昨年まで7年連続で最下位だった茨城県が42位に上がり、最下位になったのは栃木県だそうです。
 記事の一部を引用します。

 ランキングは「ブランド総合研究所」(東京都港区)が6~7月、ネット上で各地の認知度や訪問経験など84項目について約3万2千人から回答を得て、地域や人口比などを考慮して再集計した。茨城県は13年から昨年まで最下位が続いていた。
 茨城県は、 …(中略)… 今年7月には、民間主導の「いばらきビリ県脱出連携会議」も発足して、汚名返上に、官民で取り組んできた。 …(中略)…
 一方、最下位になった栃木県の福田富一知事は県庁で記者団に、「結果に『えっ』と驚いた。魅力や実力を測るのに適正な指標なのか、改めて疑問を感じた。(回答者には)栃木県にあまり縁がなかった人が数多く選ばれたということだと思う」と不満を示した。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月15日・夕刊、3版、9ページ、片田貴也・池田拓哉)

 どういう目的でランキングを作っているのかということは記事には書かれていません。回答者がどのように選ばれたのかということも書かれていません。回答者の人数が多くても客観性のある調査かどうかは疑問です。しかも、どうして民間調査会社の作ったランキングがニュース価値を持つのでしょうか。調査をしたのはどのような会社なのでしょうか。疑問だらけで、その答えを探ることのできないニュース記事です。
 47都道府県のランキングを作れば、首位があり最下位があるのは当然のことです。興味本位でない、きちんとした目的があって行っていることなのでしょうか。しかも、そんなランキングに県民などが過剰に反応しているのはなぜなのでしょうか。過剰な反応があったような書き方をしているのは新聞記者なのです。
 新聞やテレビは、このようなランキングをしょっちゅう作って報道しています。上位だけを報道することもあります。
 これは世論調査のような客観性はそなえていないでしょう。「魅力度ランキング」の魅力度とはどういう意味なのでしょうか。観光地としての魅力と、居住する魅力とは異なります。居住の魅力も、観点によって評価が異なります。そんなものを総合して得点化したのかもしれませんが、総合得点には意味や価値がありません。
 新聞が、そのようなことについて何の説明もせずに、ランキングの上位の都道府県と、下位の県を並べる表を、無責任に掲載する意図が理解できないのです。首都圏の都県が下位に来ることはないのです。だから安心して、こんな記事が書けるのでしょう。

|

« ことばと生活と新聞と(275) | トップページ | ことばと生活と新聞と(277) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ことばと生活と新聞と(275) | トップページ | ことばと生活と新聞と(277) »