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2020年11月24日 (火)

ことばと生活と新聞と(277)

民間調査会社による都道府県魅力度ランキング②


 前回は、47都道府県の「魅力度ランキング」の取りあげ方が大げさすぎるということを書きました。ところが、それに輪をかけたような記事が出ました。〈調査会社が年1回実施。今年は茨城が最下位を脱出した〉という見出しで、前回の記事と趣旨は変わりません。茨城、栃木、群馬の北関東3県のことを話題にしています。
 うんざりするような記述で、変わりばえがありませんが、引用します。

 20~70代の約3万人にインターネットで、アンケートに答えてもらうんだ。都道府県または市町村を20ずつ組み合わせたアンケートが53種類あって、どれが配信されるかわからない。魅力度に関する質問は84もある調査項目のうちの一つ。「とても魅力的」「やや魅力的」「まったく魅力的でない」などの5段階で答えてもらう。会社側が人口を考慮して順位を決める。 …(中略)…
 (茨城県は)営業戦略部を新設して観光地や特産品をPR。今夏には「いばらきビリ県脱出連携会議」を立ち上げ、官民で取り組んだ。 …(中略)…
 入れ替わりに最下位になった栃木県の福田富一知事は「魅力や実力を測るのに適正な指標なのか」と調査会社に抗議した。40位の群馬県の山本一太知事も「ランキング自体不適切で、名前を変えてもらいたい」として県庁にランキングを検証するチームを設置したんだ。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年11月17日・朝刊、13版S、2ページ、「いちからわかる!」、佐野楓)

 同じような趣旨の記事を2回も掲載する新聞社の考え方が理解できません。このような一面的なランキングは無視するべきでしょうが、それを興味本位で報道する姿勢に問題があります。
 新聞社自身は、こういうランキングを日常的に作って、それを報道していますから、その差別性などの問題に麻痺してしまっているのでしょう。
 もうひとつ、問題があります。ランクの下位の県が正面から取り組んで、ランクを上げようという努力をしているのは滑稽です。税金を使って、馬鹿げた取り組みをしないでほしいと思います。
 アンケートが53種類あろうと、調査項目が84あろうと、客観性の担保にはなりません。「会社側が人口を考慮して順位を決める」のなら、どうにでも順位を動かせるのです。調査をした研究所が信頼できる存在であるかどうかわかりません(そのことについては何も報道されていないのです)が、そんなことよりもランキングの決め方自体は信頼できないと思います。
 そんな程度のランキングを大きく取りあげる新聞にも問題がありますし、そんなものに正面から取り組もうとしている県の姿勢も、滑稽に見えてきます。

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