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2020年11月 4日 (水)

ことばと生活と新聞と(257)

「廃番」は日常生活で使われるようになるか


既に発売しているレコードの製造をとりやめるという意味で使う言葉に「廃盤」があります。そのようになったレコードのことも「廃盤」と言います。レコード自体が既に製造をやめていますから、CDのことについても「廃盤」という言葉を使うのかも知れません。
 ところで、「廃番」という言葉を見ました。「廃盤」に引かれて、類した意味を表す言葉として使われたのでしょう。こんな文脈でした。

 鳥の糞の付いた自転車をわざわざ選んで盗もうと考える人はいないはず--。そんな発想から生まれた盗難防止グッズ「鳥のうんちシール」が「ヴィレッジヴァンガード」(名古屋市)のオンラインストアで販売されている。
 3枚入りで1430円のこのシール。実は5年前にも発売しており、その復刻版にあたる。 …(中略)…
 「思い入れのあった商品だったので、廃番になった後で個人でクラウドファンディングで資金調達して作ったんです」ともときさん。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年9月30日・夕刊、3版、6ページ、「朝デジから」、若松真平)

 商品番号が付されているのかどうかわかりませんが、商品の製造をとりやめることを「廃番」と言っているようです。
 この言葉を、「廃盤」に引かれた誤用と考えるか、「廃盤」から拡大して用いられるようになった言葉と見るかは、しばらくすれば方向が明らかになるでしょう。「廃番」が定着するかどうかが判断の鍵です。
 国語辞典の編纂者は、カタカナ外来語に血眼になったり、街角の言葉の誤用を大げさに取りあげたりすることよりも、こういう言葉の動向を見つめることの方がうんと大事なことであると思います。

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