« ことばと生活と新聞と(268) | トップページ | ことばと生活と新聞と(270) »

2020年11月16日 (月)

ことばと生活と新聞と(269)

「~」と「から」


 新聞記事は、たとえ1字でも少なくしようという努力が重ねられているように思います。そのために、無理な省略語が多用されたり、記号が使われたりしています。時には、当然必要だと思われる言葉が省略されたりしています。
 誤解が生じなかったり、言葉の品位が保たれておればよいのですが、問題を感じることもあります。
 簡単な内容の文章を引用します。

 透明な画面を窓の前に設置し、映像も景色も楽しめる自動運転車が21日、大阪府吹田市の万博記念公園で公開された。23日から11月16日の金~月曜に走る。
 定員11人のバスを改造し、画面を挟んで最大5人が座る形に。50年前の大阪万博や園内の日本庭園を紹介する映像を流しながら、20~30分で回る。無料。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月22日・朝刊、14版、30ページ、「青鉛筆」)

 気になるのは、「23日から11月16日の金~月曜に走る」という表現の、「23日から」に対応する「11月16日まで」の「まで」が表記されていないことです。「から……まで」の「まで」は省略してよいという社内の取り決めがあるのでしょうか。それとも、社会では「まで」を省略する習慣が成立していると考えているのでしょうか。「まで」の省略は、紙面でかなり広く行われているように感じています。
 また、「金~月曜に走る」と「20~30分で回る」の「~」は、文章を口に出して読むときはどう発音すればよいのでしょうか。
 例えば「売価は1500円~」と表記される場合は「1500円から」と読むのが普通で、「1500円以上」と読むこともあるかもしれません。
「金~月曜に走る」は、「金曜から月曜まで」と読まないと誤解されるでしょうが、その場合は「~」を、「から……まで」と2度、読むことになるのでしょうか。「20~30分で回る」は「20分以上、30分以内」という意味でしょう。読み方は、「20分ないし30分」または「20分以上、30分以内」と読まないと、誤解が生じるでしょう。
 目で読む限りは、誤解が生じることはない文章ですが、新聞記事は、口に出して読まれることを想定しないで、文章が書かれているのでしょうか。
 このような表記法に関して、新聞社の考えが述べられているものを読んだ記憶がありません。言葉に対する新聞社の方針説明は、しなければならない必須の義務であると思います。

|

« ことばと生活と新聞と(268) | トップページ | ことばと生活と新聞と(270) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ことばと生活と新聞と(268) | トップページ | ことばと生活と新聞と(270) »