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2020年11月18日 (水)

ことばと生活と新聞と(271)

「映(ば)える」を何としても見出しに書きたいという気持ち


 こんな見出しの記事がありました。

 打倒コロナ 映える神戸牛 / 売り上げ9割減 付加価値で勝負 / たい焼き風生地でサンド / 南京町に持ち帰り専門店
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月6日・朝刊、「神戸」版、14版、19ページ、見出し)

 「映える」は「はえる」と読みたいと思いますが、それでよいのでしょうね。記事にはこんなことが書かれていました。

 テイクアウトのメニューには、おかず系具材をはさんだ「甘じょっぱ系」や、新鮮な果物やあんこなどを詰めた「スイーツ系」がある。かわいい牛の形をした生地と色鮮やかな具材で写真映えを狙う。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月6日・朝刊、「神戸」版、14版、19ページ、橋本佳奈)

 「写真映え」は連濁によって「しゃしんばえ」と読みます。流行語と関係はありません。したがって、見出しは「はえる」と読みました。
 さて、別の記事です。夕刊1面がニュースではなく、読み物になっているのですが、こんな見出しでした。スマートフォンのカメラ機能の先駆けとなったカメラ付き携帯電話が開発されてから20年になるという記事です。

 写メ誕生20年 映えるまで / 若者文化に着目 最初は「ドット絵」 / サービス発展 社会経済に影響
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月28日・夕刊、3版、1ページ、見出し)

 このページのトップ見出しの「映えるまで」の「映」という文字の隣には「ば」という振り仮名が書かれていました。記事にはこんなことが書かれていました。

 10年には写真共有サイト「インスタグラム」がサービスを開始。写真に「映える」かどうかが、モノやサービスの売れ行きを左右するまでになった。
 (朝日新聞・大阪本社発行、2020年10月28日・夕刊、3版、1ページ、森田岳穂)

 記事の中でも「映」に「ば」という振り仮名が書かれていました。記事の中で「映(ば)える」という言葉が使われているのは、この1カ所だけです。
 新聞は、ことほど左様に、流行語を追い、それを大きな文字で見出しにしたがっているようです。
 言葉を研究する人の中には、何年何月何日の紙面にはじめて「ばえる」が載った、などと言う人がいますから、こんな紙面づくりもしなければならないのでしょうね。「ばえる」などという言葉の生命力は、長持ちするとは思えませんが…。

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